【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第148話 碌な言葉覚えてねえ! 殺って良し!
第148話 碌な言葉覚えてねえ! 殺って良し!
司達がダンジョン探索を開始したのと同時刻、ダンジョンの地下4階には藍大達の姿があった。
パンドラは未亜にレンタルしており、イザークはシャングリラの門番なのでそれ以外の従魔に加えて舞が藍大に同行している。
地下4階は地下2階、地下3階とは一風変わった風景だった。
「藍大~、ここはどこだと思う~?」
「古戦場みたいだな」
「物知りだね」
「世界史の資料集でチラッと見た記憶があるだけだ」
「うっ、藍大が学業でマウント取る・・・」
「取ってない取ってない」
舞は高校時代に真面目に勉強していなかったので、藍大が学生時代のテキストを会話に持ち出したことで警戒した。
藍大的にはマウントを取るつもりなんて微塵もなく、記憶に残ってたからそれを口にしただけである。
『ご主人、あっちの空から何か来るよ。それも複数』
「空から?」
藍大がリルの示した方角を見ると、確かにモンスターらしきシルエットが3体見えた。
それらが近付いて来るにつれて、モンスターの身体的特徴が明らかになった。
腹部に人の顔がある鷲のような姿であり、遠目から見てもハンドボールサイズはあるので近くから見たら普通の鷲よりも大きいのは間違いないだろう。
その鷲型モンスター達は宙返りした直後に縦一列に並んでおり、モンスターにしては珍しい組織だった移動を見せた。
宙返りする際、その背中には虎の顔もあったので体の正面と裏の両方に鷲とは異なる顔が付いていることになる。
その点から考慮すると、合成獣だと考えるのが自然である。
藍大達に声が届く範囲に入った途端、3体の腹部の人の顔の口が開いた。
「ダラシネエナ」
「ユガミネエナ」
「シカタナイネ」
「碌な言葉覚えてねえ!
これには藍大もツッコまずにはいられなかった。
「死んでくれる?」
『真っ二つになっちゃえ!』
「狙い撃つです!」
サクラは<
藍大がモンスター図鑑で調べたところ、鷲型モンスターの名前はグリルスだとわかった。
サクラ達に倒されたグリルスのレベルは、それぞれ42、43、44だった。
ふざけた言葉を発するグリルスが地下3階のフロアボスのコクオーよりもレベルが高いと言う事実に気づき、藍大の頭が痛くなるのも仕方のないことである。
「ねえねえ、さっきあのモンスター達が言ってたことってなんなの? 碌な言葉じゃないって言ってたけど」
「俺もそこまで詳しくはないが、腐女子向けのネタだ」
「ふ~ん。じゃあ私には関係ないね。私の恋愛対象は藍大だけだし」
「私だってそうだもん」
舞が藍大の腕に抱き着けば、サクラもそれに張り合って抱き着く。
ちなみに、藍大は舞の不意打ちにドキッとしていた。
リルとメロがサクサクと解体を進めており、リルは作業が終わると藍大に訊ねた。
『ご主人、この鳥って食べられるの?』
「モンスター図鑑によれば、人と虎、鷲の顔の部分以外は食べられるぞ」
『そうなんだ~。美味しいかな?』
「見た目の時点でゲテモノだから美味いかどうかは約束できないな」
『そっかぁ。しょんぼりだね』
「リル、落ち込むことはないさ。この階にはノーブルホースも現れるはずだからな」
『ノーブルホース・・・。あっ、メンチカツだね! 僕、メンチカツ好きだよ!』
「よしよし」
リルは馬肉メンチカツは美味しかったと記憶していたようで、藍大は微笑みながら機嫌を直したリルの頭を撫でた。
解体したグリルスの回収を済ませて探索を再開すると、藍大が言った通りにノーブルホースとも無事に遭遇できた。
リルと舞が元気に倒していたのは言うまでもない。
グリルスもかなりの頻度で藍大達を襲撃しだが、その際に腹部にある人の顔が碌でもない言葉を口にしてはサクラ達に倒されていった。
残念ながら、空を飛ぶグリルスが相手だと舞は藍大の護衛に徹するしかなくて退屈そうだったが適材適所なので仕方がない。
度重なるグリルスとノーブルホースの襲撃を返り討ちにすると、藍大達の前に新たなモンスターが現れた。
その姿はライオンと山羊、蛇の3つの頭が生えており、背中からは蝙蝠の翼が生えた見た目だった。
「キマイラだよな」
一般的に知られる姿から特に捻りもなく現れたそれを見て、藍大は種族名を口にした。
そして、距離がまだ開いている間にモンスター図鑑でそのステータスを調べ始めた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:キマイラ
性別:雌 Lv:55
-----------------------------------------
HP:700/700
MP:900/900
STR:850
VIT:750
DEX:800
AGI:700
INT:1,000
LUK:700
-----------------------------------------
称号:掃除屋
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:なし
-----------------------------------------
(能力値の平均が800か。地下3階の”掃除屋”から200も上がってやがる)
キマイラの能力値は地下3階の”掃除屋”の能力値平均から200上がった800だった。
サクラ達ならば問題なく戦える数値だが、油断大敵であることに変わりはない。
「ガオォォォォォン!」
キマイラの真ん中のライオンの頭が吠えると、周囲の空気がビリビリと震えた。
「うっせえんだよ猫が!」
その咆哮はキマイラの<
それが叫び終えたライオンの顔に命中して怯む。
ところが、山羊の頭と蛇の頭は健在なのでキマイラはそれぞれ<
「無駄ァ!」
舞が光のドームを展開してその両方を防いだ。
「リルとメロでキマイラを追い詰めろ。サクラが弱らせろ。とどめは舞に任せる」
「おとなしくするです!」
藍大の指示を聞くと、メロが真っ先に<
キマイラはそれに触れたら不味いと判断し、綿の配置された場所から飛び立とうとするがリルがそれを阻止せんと<
「誰を相手にしたか教えてあげる」
サクラはそう言うと深淵の刃を両手に創り出してキマイラに向かって飛び出し、すれ違いざまに山羊と蛇の頭を斬り落とした。
「弱肉強食だってわからせてやるぜぇぇぇ!」
舞は光を付与した状態でMPを注ぎ込み、雷光を纏ったトールゲイザーをキマイラに残されたライオンの頭に振り抜いた。
攻撃が当たった瞬間、バチッという音と共にライオンの頭が焦げてキマイラのHPが0になった。
『サクラがLv76になりました』
『おめでとうございます。サクラのLUKが5万に到達しました』
『サクラの称号”勝負師”が称号”運に愛されし者”に上書きされました』
『リルがLv75になりました』
『ゲンがLv72になりました』
『ゴルゴンがLv68になりました』
『ゴルゴンがLv69になりました』
『メロがLv62になりました』
『メロがLv63になりました』
(レベル60代組が2つもレベルを上げたか。どんだけ経験値あったんだよ)
キマイラを倒してゴルゴンとメロがレベルを2つもあげたので、改めて藍大はキマイラの強さを知ることととなった。
もっとも、倒されてしまったのだから舞達の方が強いのだが。
それはさておき、キマイラの解体を済ませるとリルが藍大の前に魔石を咥えて持って来た。
「次はリルの番だもんな。おあがり」
『うん!』
魔石を飲み込んだ直後、リルの毛並みが更に美しくなった。
『リルのアビリティ:<
システムメッセージが鳴り止むと、リルは自分の毛並みが変わったことに気づいて喜んだ。
『ご主人、見て! 僕の毛並みが綺麗になったよ!』
「そうだな。リルはエレガントだ」
「クゥ~ン♪」
リルは藍大に顎を撫でられて気持ち良さそうに鳴いた。
藍大はサクラの新しい称号とリルの新しいアビリティを順番に調べてみた。
”運に愛されし者”はその名の通りであり、LUKの数値が5万を超えた運勢に関わる称号を持つ者が会得できる称号だった。
この称号を持つ限り、同じ称号を持つ自分よりもLUKが高い者以外との運による勝負では負けず、1日に1分だけLUKの数値を5倍にできる。
<
リルの<
その効果は自分を中心に半径100mまでを範囲とし、効果が切れるまで3分は猶予がある。
また、<
いずれにせよ、キマイラとの戦いでサクラとリルがパワーアップしたことがわかって藍大は喜んだ。
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