【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第105話 さては自分で攻撃する気ゼロだな?
第105話 さては自分で攻撃する気ゼロだな?
探索を再開した藍大達だったが、とある物を見つけて立ち止まった。
「剣だよな?」
「剣だね~」
通路上に錆びて古くなった見た目の剣が突き刺さっていたため、何も考えずに近づくことはできないと一旦止まったのだ。
藍大がモンスター図鑑で調べてみても、地面に刺さった剣はモンスターではなかったので何もわからなかった。
直接手で触るには汚れが酷い。こんな時こそサクラの新しいアビリティの出番である。
「サクラ、あの剣に<
「は~い」
サクラが<
これで手に持っても平気そうだと思ったら、柄から先の刃の部分が粉砕して消えた。
「えっ、なんで?」
サクラの対応には何も問題はなかった。
それにもかかわらず、時間差で柄の先まで時間差で消えてしまったのだ。
藍大達の中には剣を使う者はいないので期待した者はいなかった。
「主、ごめんなさい」
「気にしないくて良いさ。元々変わった物なのかもしれん。とりあえず、足元に落ちた柄を拾ってみてくれ」
「うん」
藍大に気にしなくていいと言われたサクラは、そのまま藍大の指示に従って柄を拾ってみた。
藍大も再びモンスター図鑑を開き、サクラが手に持った柄の正体を調べた。
(MPブレード・・・だと・・・!?)
サクラが手にしているそれはMPブレードという武器だと発覚した。
MPブレードはあらかじめMPを注ぎ込んでおくか、使う時にMPを流すことで使用可能になる武器だ。
これが地面に刺さっていたのは、ダンジョンに漂う微量のMPがMPブレードに蓄積され、土曜日のMPが土属性でそのMPを実体化させていたからだった。
サクラの<
「サクラ、これはこの形がデフォルトだから壊れてないぞ」
「そうなの? 私のために嘘ついてない?」
「俺は冗談を言っても嘘はつかない」
「それなら良かった」
サクラは藍大の言葉を聞いてホッとした。
藍大のためになりそうな物を自分が壊したなんてことは嫌だったのだ。
だがちょっと待ってほしい。
LUKが2万を超えて<
いや、起こり得ない。
とりあえず、ダンジョン内で持ってるだけでも僅かにだがMPを蓄積できるから、いざという時のために藍大がお守り代わりに持って歩くことにした。
「MPブレードは俺が貰うけど、舞にはチタンリザードマンの鱗で鎧を新しく作ってもらおう」
「良いの? SSスケイルはまだ全然使えるよ?」
「そりゃ無傷だからそうかもしれないけど、今日で地下2階の探索は1周するだろ? SSスケイルで地下3階に挑んで舞が怪我をしたら嫌じゃんか。俺は自分にも彼女にも安全のために金を惜しむつもりはない」
「藍大・・・」
舞が目を潤ませて藍大に抱き着いたのは言うまでもない。
それを見たサクラが嫉妬して藍大に抱き着くのも予定調和である。
その後、何度かバトロックアームやハニワンとの戦闘を経て藍大達は広場に辿り着いた。
この先は行き止まりになっており、広場の中心には陶器製の大きなガチャガチャマシンがどっしりと待ち構えていた。
地下2階の終点にいるのだからボスだろうと判断し、藍大はすかさずモンスター図鑑を開いた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:ガチャゴーレム
性別:なし Lv:30
-----------------------------------------
HP:350/350
MP:700/700
STR:0
VIT:800
DEX:0
AGI:0
INT:0
LUK:820
-----------------------------------------
称号:地下2Fフロアボス
アビリティ:<
<
装備:なし
備考:歓喜
-----------------------------------------
(さては自分で攻撃する気ゼロだな?)
藍大はガチャゴーレムのステータスチェックをしてそのような感想を抱いた。
藍大には是非とも自分の胸に手を当てて今までの自分を振り返ってほしい。
そうすれば、その感想がブーメランであるとすぐに気が付くはずだ。
すると、ガチャゴーレムは突然発光して藍大達の前に天使と悪魔のイラストがそれぞれの半円に描かれたルーレットが現れて回り出した。
ガチャゴーレムの<
このアビリティの使用者は針が天使で止まれば能力値が2倍になり、悪魔で止まれば能力値が半減する。
ガチャゴーレムはまさか地下2階で自分よりもLUKの高い者がいないだろうと楽天的に考えていたが、現実はそうではなかった。
針は悪魔で止まったのだ。
しかし、ここでガチャゴーレムの<
これは<
それでも、2回目の針も悪魔で止まった。
ガチャゴーレムは愕然としたが、それとは対照的に藍大はニヤリと笑みを浮かべた。
「井の中の蛙大海を知らずってな。サクラのLUKは2万超えだぞ」
藍大によってサクラの実力を知ったガチャゴーレムは気でも狂ったかのように<
<
ガチャコンと音がして次々にカプセルが排出口から転がり出し、3つのカプセルがガチャゴーレムの前に揃った。
3つのカプセルは光となって消え、それらの中からシルクモスとマグスラグ、パールピアスが1体ずつ現れた。
(へぇ、曜日無視して地下2階の
そんなことまでできるのかと藍大は驚いたが、ガチャゴーレムからすれば全部ハズレだった。
地下2階に出て来る
当たりが出たならば、もっと下の階の強いモンスターを味方として呼び出せた。
けれども、<
サクラさえいなければ、<
しかも、LUKも倍になっているから今回よりもずっと良い結果になっただろう。
もっとも、ガチャゴーレムのLUKの能力値が2倍になったとしても、サクラの1割にも満たないのだから誤差の範囲内と言えよう。
「舞がパールピアス、サクラがマグスラグ、リルはシルクモスの相手を頼む」
「「『了解!』」」
ガチャゴーレムは自ら攻撃するアビリティもなければ移動手段も持ち合わせていない。
それゆえ、藍大は舞達に1体ずつ倒すように指示を出した。
舞達はあっさりと自分に課せられたノルマをクリアし、残るはガチャゴーレムだけとなった。
そのように思った時、時間経過によるMPの回復でガチャゴーレムはもう一度<
藍大はそれに思いついたことを試してみようと指示を出した。
「サクラ、あのカプセルが開く前に深淵で飲み込めるか?」
「やってみる!」
サクラは<
深淵に包み込んだ後、サクラは両手をパンと叩いた。
「マジか」
「すご~い」
『消えちゃった』
サクラが両手を叩くと同時に深淵が圧縮されてぺしゃんこになり、深淵が消えると共にカプセルはこの広場から姿を消した。
これには藍大達も驚くしかない。
だが、藍大達よりも驚いているのはガチャゴーレムである。
泣きの1回が自分には理解できない事象によってなかったことにされたのだ。
ガチャゴーレムに手足があれば膝から崩れ落ちていたに違いない。
そんなガチャゴーレムの慟哭に気づき、藍大はせめてもの情けだとサクラに指示を出した。
「サクラ、とどめを刺してやれ」
「うん。バイバイ」
サクラは深淵の刃を創り出すと、排出口の上にあった顔に突き刺す。
刃が消えた直後にシステムメッセージが藍大達の勝利を告げた。
『サクラがLv61になりました』
『リルがLv60になりました』
『リルが進化条件を満たしました』
『ゲンがLv57になりました』
『ゴルゴンがLv52になりました』
(よし! リルが進化できるじゃん!)
藍大はガチャゴーレムへの同情なんて秒でかなぐり捨て、リルが進化できるようになったことに喜んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます