第71話 私なんておはようからおやすみまで一緒

◆◆◆◆◆


【女の子が握ったおにぎり】おにぎりフェススレ@1【食べたい奴集合!】


1.”楽園の守り人”の従魔士

 5/16(土)正午に神奈川県の月見商店街で行うおにぎりフェスのスレッドです

 誹謗中傷等、他者を意味なく害する者は、DMUに通報します

 会場では当日に”楽園の守り人”が誇る女性陣の作ったおにぎりが食べられます

 どんなおにぎりが作られるかワイワイ予想して楽しみましょう

 次スレは950を踏んだ人が立てること


2.”楽園の守り人”の騎士

 >1

 スレ立てありがとう!

 私も頑張って握るよ!


3.”楽園の守り人”の拳闘士

 >1

 スレ立て乙!

 私が飲んでばかりじゃないことを証明する時が来た!

 ギャフンと言わせてやるから待ってなさい!


4.”楽園の守り人”の弓士

 >1

 スレ立て乙!

 おっぱいの大きいモンには負けへんで!


5.”楽園の守り人”の槍士

 >1

 僕も参加するから女性陣って括りは違うよね?

 そうだよね?


6.”楽園の守り人”の薬士

 >1

 あのあの、自信ないけど頑張ります


7.”楽園の守り人”の一番従魔

 >1

 主に美味しいって言ってもらうの!


8.名無しの冒険者

 えっ、何これ?

 マジでそんなイベントあるの?


9.名無しの冒険者

 サクラたんのおにぎりが食べられる・・・だと・・・?


10.名無しの冒険者

 ロリショージョじゃない年増のおにぎりか・・・

 アリだな


11.名無しの冒険者

 >10

 ロリコンなら最後までその性癖を貫き通せよ


12.名無しの冒険者

 >11

 馬鹿野郎!

 女の子の手料理が食えるんだぞ!?

 ロリコンにこだわってらんねえだろうが!


13.名無しの冒険者

 コイツ、ガチでおにぎりを狙ってやがる


14.名無しの冒険者

 開拓者のおにぎりとな?

 それを殿方が食べるのを見られると?

 辛抱堪りませんな

 グ腐腐腐腐腐


15.名無しの冒険者

 >14

 腐女子退散!

 皆の者、腐女子警戒態勢を取るんだ!


16.名無しの冒険者

 |д゚)


17.名無しの冒険者

 |д゚)


18.名無しの冒険者

  ^^) _旦~~


19.名無しの冒険者

 >18

 招き入れちゃってんじゃねえか!


20.名無しの冒険者

 脱線してるんで話を戻すけど、マジで”楽園の守り人”の女性陣が握ったおにぎり食えるの?


21.”楽園の守り人”の従魔士

 >20

 食べられる

 しかも、シャングリラで手に入るモンスター食材も一部おにぎりの具になる予定


22.名無しの冒険者

 テイマーさんがスレ立てて質問にも答えてくれたんなら間違いないな

 これは参加しなければなるまい

 サクラたんのおにぎりを食べなくては


23.名無しの冒険者

 ハンドルネームでクラン名使ってるんだから間違いないっしょ

 俺は司たんのおにぎりが食べたい


24.名無しの冒険者

 僕のおいなりさんをお食べ(意味深)


25.名無しの冒険者

 それは私のおいなりさんだ


26.名無しの冒険者

 デュフフ


27.名無しの冒険者

 腐女子がジェットストリームアタック決めやがった


28.名無しの冒険者

 お前ら良い加減にせえよ!

 撲殺騎士たんがテイマーさんを開拓者から守るんだからな!


29.名無しの冒険者

 撲 殺 騎 士 た ん


30.名無しの冒険者

 記者会見での嫁宣言が懐かしいな

 つ(動画)


31.名無しの冒険者

 勘違いしないで下さい

 私は逢魔と一緒にご飯を食べて家計を任せる仲なだけです(キリッ)


32.名無しの冒険者

 新手のプロポーズかな?

 記者会見で外堀から埋めるなんてやりおる


33.”楽園の守り人”の一番従魔

 私なんておはようからおやすみまで一緒


34.名無しの冒険者

 >33

 なん・・・だと・・・


35.名無しの冒険者

 >33

 テイマーさん、あんたって奴は本当に男だ!


36.名無しの冒険者

 >33

 愛さえあれば種族の壁なんて関係ないよねってことですね、わかります


37.”楽園の守り人”の従魔士

 >34~36

 だがちょっと待ってほしい

 一緒に寝てるだけであって何もしてない

 いわば添い寝だ


38.”楽園の守り人”の騎士

 >37

 ギルティ


39.”楽園の守り人”の拳闘士

 >37

 ギルティ


40.名無しの冒険者

 クランメンバーも知らなかったのか


41.”楽園の守り人”の一番従魔

 主と一緒に寝るとポカポカした気持ちになるの

 主の寝顔が可愛くて偶に襲いたくなるんだよ?


42.名無しの冒険者

 神は死んだ


43.名無しの冒険者

 なんて日だ!


44.名無しの冒険者

 俺のサクラたんがぁぁぁっ!


45.名無しの冒険者

 >44

 お前のじゃねえよ

 テイマーさんのだよ


46.名無しの冒険者

 も、もしかして、司たんもテイマーさんと添い寝を?


47.楽園の守り人”の槍士

 >46

 してないから!

 僕はノーマルだから!

 女の子が恋愛対象だからね!?


48.名無しの冒険者

 終わった


49.名無しの冒険者

 あぁ、終わってしまったよ、俺の初恋


50.名無しの冒険者

 このスレには真面目におにぎりを食べたい人はいないのか?


51.名無しの冒険者

 私だ

 私こそがおにぎり評論家だ

 貧乳弓士のおにぎりはどこで食べられるのかね?


52.名無しの冒険者

 お前も変態じゃねえか!


53.名無しの冒険者

 貧乳はステータスだ! 希少価値だ!


54.名無しの冒険者

 >52

 お前は全然まな板のスゴさをわかってない 

 

55.楽園の守り人”の弓士

 >51,53,54

 誰が貧乳や!


56.名無しの冒険者

 リル君のおにぎりはないのかしら?


57.名無しの冒険者

 また業の深き者が現れたか


58.名無しの冒険者

 >56

 四足歩行のリルにおにぎりを作れると思ってるのが怖い

 リルの毛が混入してても平気で食べそうなことも怖い


59.”楽園の守り人”の従魔士

 リルはおにぎりを作る側じゃなくて食べる側

 言わなくてもわかってたと思うけど念のため

 

60.名無しの冒険者

 56の発言はテイマーさんも想定外だったろうなぁ


◆◆◆◆◆



 おにぎりフェスの話がまとまり、掲示板にその告知を行ったのだが藍大の予想外の方向へとスレッドが加速した。


 とりあえず、脱線の原因となったサクラに藍大は訊ねた。


「サクラ、なんであんなこと書き込んだんだ?」


「主は舞のものじゃないもん。私のものだってアピールしなきゃって思ったの」


「28番目に書き込んだ人から話が舞の記者会見の話に移ったもんなぁ」


「一緒に寝てる時間なら舞に勝てる」


「そんなところで張り合うんじゃありません」


 サクラにスマホでの書き込みを許したのは失敗だったかもしれないと藍大は後悔した。


 おにぎりフェスではサクラもおにぎりを握るため、藍大がパソコンから掲示板に書き込んでサクラが藍大のスマホから書き込む方法を取った。


 ところが、藍大の目を離した隙に従魔との添い寝事情が一部露見してしまった。


 これはサクラのファン達からやっかみを受けるに違いないので、藍大は気分が落ち込みつつあった。


 そこにピンポーンとインターホンの音が鳴った。


 開けた瞬間に舞が有無を言わさず102号室の中に入った。


 もっとも、藍大が舞の入室に抵抗したところであっけなく通られてしまうのだが。


「藍大、お話があります」


「あっ、はい」


 何も言わせないと目が口よりも雄弁に語っていたため、藍大は自然とその場に正座した。


 その一方、サクラは藍大の隣に立って舞を警戒するように睨んだ。


「何しに来たの?」


「掲示板の件についてお話しに来たの」


「私が主と一緒に寝てることがそんなに悔しいの?」


 サクラがそう言った瞬間、藍大は舞の背後に般若が見えた。


 (サクラさん、煽らないでもらえないですか!?)


 藍大は心の中で懇願した。


『ご主人、怖い』


 リルは舞とサクラの放つプレッシャーにやられ、尻尾を股下にしまい込んで藍大に身を寄せた。


 とばっちりを受けたリルをかわいそうに思い、藍大はそっとリルの頭を撫でてリルを落ち着かせつつ自分の心にも余裕を取り戻そうとした。


「藍大と一緒に寝てるなんて掲示板で言うことじゃないでしょ!」


「記者会見で外堀を埋めた舞に言われたくない!」


 どっちも正論である。


 正論であるがゆえに双方とも歯を食いしばった。


「あの~、リルも怖がってるしもうちょっと冷静に話さないか?」


「藍大はどっちの味方なの!?」


「主はどっちの味方なの!?」


 (どっちの味方と言っても角が立つんだが・・・)


 困った藍大は起死回生の手を思いついた。


「よし、わかった。今日は舞も一緒に寝よう!」


『ご主人!?』


 錯乱してないですかご主人と言わんばかりにリルが驚きの視線を向けるが、舞とサクラは違った。


「乗った!」


「良いよ! 実力の差を思い知らせてやるんだから!」


『良いの!?』


 リルがツッコミに回らざるを得ないなんて、緊急事態としか言いようがない。


 舞はサクラが藍大に悪戯しないか見張るため、藍大の提案に乗ることを決めた。


 サクラは舞と同じ土俵に立ったうえで藍大が自分のものだとはっきりさせるために賛成した。


 藍大は後になって自分が錯乱して変なことを言ったことに気づいたが、今になって自分の提案を撤回する訳にもいかず左右を舞とサクラに挟まれて寝ることになった。


 緊張して眠れないのかと思いきや、藍大とサクラ、リルは寝つきが良かったせいですぐに寝てしまい、それを確認した舞もすぐに眠りについたので何も起こらなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る