【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第48話 まったく冗談じゃないぜ。あの触手、俺を掘りに来やがった
第48話 まったく冗談じゃないぜ。あの触手、俺を掘りに来やがった
ボス部屋の前に到着すると、藍大達はすぐにボス部屋の中に入った。
触手しか出てこない4階をさっさと通過したいからだ。
ボス部屋に入ると、大きな木と呼べるサイズの蛍光色の触手が藍大達を待ち構えていた。
藍大はすぐさまモンスター図鑑を開き、フロアボスのステータスを調べた。
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名前:なし 種族:ローパー
性別:雄 Lv:25
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HP:210/210
MP:240/240
STR:270
VIT:300
DEX:350
AGI:0
INT:0
LUK:300
-----------------------------------------
称号:4Fフロアボス
アビリティ:<
装備:なし
備考:なし
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(この見た目でバレルクラブ並みに硬いとか冗談じゃないぜ)
藍大がローパーのステータスを見た時、最初に目がいったのはVITの能力値だった。
触手に硬いイメージはなかったが、VITの能力値がバレルクラブと同じだったのだからそう思ってしまうのも仕方のないことだろう。
テンタクルスとの違いは<
<
<
とまあ、ここまではローパーのアビリティについて触れたが、舞とサクラにとってはそれよりも重要な問題があった。
「藍大、大きいにゅるにゅるなんて乙女の敵だよ!」
「主、あれは駄目! 抹殺しよ!」
自分よりも大きい触手なんて許容できないのだ。
いや、小さくても許容できないだろうが大きければ尚更お断りなのである。
だが、ここで藍大達にとって予想外のことが起きた。
ローパーが<
「藍大に手を出すんじゃねえぞコラァ!」
咄嗟に舞がカバーに入り、マッシブメイスでローパーの触手を弾き返した。
「オン!」
弾かれた触手に対して、リルが<
ブチッという音がすると共に触手が千切れた。
「いただきま~す!」
サクラは大好きな藍大を狙うローパーを許さないと怒ったが、ローパーに万が一でもラッキーなことが起きてはならぬと<
(まったく冗談じゃないぜ。あの
予想外の事態に藍大は冷や汗ザーザーである。
ボス部屋に入る前のテンタクルスの場合は、男性冒険者2人を藍大が肉壁にした結果、偶然そうなってしまったのだ。
テンタクルスのターゲットは舞やサクラであり、藍大ではなかった。
だが、ローパーは違った。
最もこの場でヘイトを稼いでいないはずの藍大を捕らえようとしたのだ。
これが意味することは、あのローパーに特殊性癖があるということである。
「舞、サクラ、リル、あいつは生かしちゃおけねえ! 素材なんてどうでも良いからぶちのめせ!」
「任せな!」
「うん!」
「アオォォォォォン!」
藍大からなんでもありと言われると、舞達は気合を入れて返事した。
舞は自ら攻め込むと分が悪いとわかっているので、藍大の近くに待機してローパーが触手を伸ばしてくるチャンスを待っているぐらいには冷静だった。
これならば舞に指示は不要だと判断し、藍大はサクラとリルに指示を出した。
「サクラ、ローパーに拘束は奴の専売特許じゃないとわからせてやれ。リル、舞が触手を弾いたら切断しろ」
「任せて! 逮捕しちゃうぞ~!」
サクラが<
ところが、ローパーは捕まってなるものかと抵抗した。
<
全能力値の中でDEXが最も高いのは伊達ではなく、その狙いが精密だったことでサクラは拘束に失敗した。
しかも、ローパーには触手が大量にある。
サクラの拘束を阻止するのに使った触手なんて大したことない数だったから、残りの触手を藍大を捕えようと伸ばして来た。
「やらせねえって言ってんだろうが!」
舞はメイスとシールドを巧みに操り、藍大を捕らえるために襲い来る触手を次々に弾く。
「オン!」
舞が弾いたタイミングを逃さず、リルは触手を次々に<
だが、ローパーもただやられるだけではなかった。
<
進化する変態とはかくも恐ろしい。
「サクラ、拘束は止めて攻撃に回ってくれ!」
「は~い! バラバラになっちゃえ~!」
緩い掛け声だが、サクラの<
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ローパーには藍大達のとって運が良いことに再生能力がない。
大量にある触手だって、再生しないのならばいつか終わりが来る。
ローパーはそれを十分承知しているため、何本かの触手を束ねて4本腕の見た目に変えた。
敵の数だけ触手を束ねた太い触手を用意すれば、藍大にもきっと触手が届くと考えたのだろう。
ローパーは舞とサクラ、リルに向かって<
サクラは空に逃げ、リルはAGIの高さを活かして躱した。
しかし、舞はそれを迎え撃った。
シールドで太い触手を側面から弾いて威力を減衰させると、回転斬りの要領でスイングした。
「ぶっ飛べオラァ!」
舞に殴られた触手は、ローパーのコントロールを離れて藍大を捕らえようとした触手に命中した。
それにより、特にコーティングしていなかった方の触手は自分の攻撃で削られて千切れてしまった。
「舞には負けない!」
サクラは舞が触手の攻撃を凌いでみせると、自分だって避けるだけではじゃないと舞の真似をして<
「オン!」
リルも一撃だけで足りないなら何度でも攻撃してやると意気込み、<
残る太い触手は1本のみだ。
ローパーは覚悟を決めたのか、舞達を無視して藍大を狙って触手を伸ばした。
「させねえって言ってんだろうが!」
舞がカバーに入り、シールドでその触手を弾こうとした。
その時、この場にいる誰にとっても予想外なことが起きた。
ローパーがバランスを崩して倒れ、藍大を狙っていた触手が何もない所に向かって伸び切ったのだ。
大量の触手を舞達に斬られ、ローパーのバランスはいつの間にかガタガタになっていた。
細い触手を束ねて1本の太い触手にしたことで、バランスが偏っていたことも影響したのだろう。
とりあえず、転倒して無防備な状態のローパーなんて敵ではない。
舞とサクラ、リルの集中砲火を受けてピクリとも動かなくなった。
『サクラがLv36になりました』
『リルがLv35になりました』
システムメッセージが聞こえなくなると、サクラとリルが藍大に駆け寄った。
「主、勝ったよ!」
「オン!」
「お疲れ様。サクラもリルもよくやってくれた。俺の貞操を守ってくれてありがとな」
「エヘヘ♪」
「オン♪」
真剣に自分の身の危険を感じた藍大は、サクラとリルをいつも以上に優しく撫でた。
舞にも礼を言おうと藍大が振り向くと、舞は悲し気な表情でメイスとシールドを見つめていた。
「舞、どうした?」
「藍大、ごめんなさい。メイスとシールド、壊れちゃったみたい。折角プレゼントしてくれたのに」
その瞬間、パキッという音が響いてマッシブメイスとマッシブシールドが割れた。
(そりゃあれだけの戦闘を繰り広げりゃこうなるか)
自分にはとてもではないが太刀打ちできない戦闘をしていたのだから、メイスとシールドに負荷がかかっても何も不思議ではない。
「形ある物はいずれ壊れるさ。舞が無事ならそれで良い。それに、茂にも新しい奴は頼んでるんだから気にすんな!」
「藍大~!」
舞の沈んでいた表情が晴れ、嬉しさのあまり藍大に抱き着いた。
以前は力の限り抱き締められたことで、藍大は自分の背骨が折られるのではないかと危惧したが、今回はちゃんと力加減ができていた。
「よしよし。舞もありがとな。おかげで助かった」
「うん!」
舞が落ち着くまで好きにさせてから、藍大達はローパーの死体の解体と回収を行った。
「魔石はリルにあげる番だな」
「ワフゥ」
藍大の手から魔石を飲み込むと、リルの体が少し大きくなってポニーと乗用馬の中間ぐらいのサイズになった。
『リルのアビリティ:<
「<
「オン♪」
強くなったんだぞとリルが藍大に頬擦りすると、藍大はよしよしと頭を撫でてやった。
その後、舞が戦える状況ではなくなったので、藍大達は今日の探索を終わりにして客船ダンジョンを脱出した。
舞のメイスとシールドが壊れたことを茂に告げ、戦利品もDMU運輸に届けてもらうと藍大達は今日の疲れをしっかりと取ることにした。
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