【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第41話 う~ん、サンドバッグ・・・みたいな?
第41話 う~ん、サンドバッグ・・・みたいな?
隠し部屋を出た後、藍大達はボス部屋探しを再開した。
隠し部屋でシルバークロウリーを手に入れてから、サクラはすっかりご機嫌である。
スタッフィーを倒すのも鼻歌を歌いながら流れ作業のように済ませていた。
サクラは2回、リルは1回進化したことでなかなかレベルアップできなくなったが、フロアボスを倒せばそろそろレベルアップするんじゃないかと藍大は予想している。
これは勘による予想ではなく、モンスター図鑑を確認した上での予想だ。
スタッフィー1体を倒して得られる経験値を算出し、フロアボスを倒せばレベルアップできるだろうと判断した訳である。
さて、藍大達は隠し部屋を出てから30分後にボス部屋に到着した。
「ここまで来るのに結構スタッフィー倒したよな。なんで”掃除屋”が出てこないんだ?」
「シャングリラよりもこの客船の方が広いからじゃない? 広い方が
「なるほど。確かにこの客船はシャングリラよりも広いもんな。舞の言う通りかもしれない」
「ドヤァ」
自分の推論を藍大に支持してもらえると、舞はドヤ顔になった。
サクラとリルだけではなく、自分だってもっと頼りになるのだとアピールできて嬉しいらしい。
幸運なことにボス部屋の前に冒険者はいなかった。
もしも冒険者達が並んでいれば、ボスに挑戦するまでに時間がかかっただろうから藍大達はホッとした。
冒険者達も余程強い敵ではない限り、フロアボスはパーティー単位で挑むものだ。
それゆえ、パーティー同士が同じフロアボスを倒そうと被ることはない。
仮に1パーティーだけでも倒せそうな敵にバッティングしてしまうと、倒した後に倒したモンスターの死骸の分配に困る。
ということで、藍大達にとってボス部屋の前に誰もいないこの状況は願ったり叶ったりなのだ。
後ろからどこかのパーティーが来たようで、その足音が近付いて来るように聞こえて来たから、藍大達は急いでボス部屋の中に入った。
ボス部屋の中にはスタッフィーがいた。
ただし、そのスタッフィーのサイズが通常のサイズと比べて大きかった。
普通のスタッフィーがサッカーボール大だとしたら、今藍大達の目の前にいるスタッフィーは軽自動車並みの大きさだった。
とりあえず、藍大は目の前の敵のステータスをモンスター図鑑で調べ始めた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:ジャイアントスタッフィー
性別:雌 Lv:15
-----------------------------------------
HP:90/90
MP:100/100
STR:100
VIT:90
DEX:60
AGI:40
INT:120
LUK:30
-----------------------------------------
称号:1Fフロアボス
アビリティ:<
装備:なし
備考:なし
-----------------------------------------
(舞の言ってた通りだ。シャングリラの”掃除屋”の方が強い)
敵の実力が大したことがないとわかれば、藍大が臆病になる必要はない。
そう思って藍大が指示を出そうとした時だった。
ジャイアントスタッフィーの表面がメタリックカラーに変わり、そのまま回転し始めたのだ。
「<
「オン!」
リルは<
<
「逮捕しちゃうぞ~」
サクラが<
「いただきま~す!」
ジャイアントスタッフィーの動きを封じ、僅かばかりのLUKもサクラが奪い取ってしまえば、後は舞の出番である。
「ぶちのめしてやんよ!」
そこからの流れは簡単だ。
接近した舞がマッシブメイスを振り下ろし、ジャイアントスタッフィーが動かなくなるまで殴り続けるだけの作業が繰り返されただけである。
『サクラがLv32になりました』
『リルがLv31になりました』
戦闘が終わったとわかると、サクラとリルが藍大に褒めてほしいとアピールする。
「主~、終わったよ~」
「オン!」
「よしよし。シャングリラの外でも順調だな」
「ふぅ~。程良い硬さでストレス発散になったよ~」
「舞もお疲れ。程良い硬さってどれぐらい?」
「う~ん、サンドバッグ・・・みたいな?」
(サンドバッグって昔殴ったことあったけど結構硬かったんだよなぁ)
舞の発言から昔の記憶を思い出し、サンドバッグって程良い硬さではないだろうと思う藍大だった。
その後、藍大達は倒したジャイアントスタッフィーの解体作業を行った。
モンスター図鑑によると、ジャイアントスタッフィーは体内に金属を溜め込む習性があるらしく、それが<
回収すれば売るなり装備の強化に使ってもらうなりできるので、サクラとリルがテキパキと解体して金属部分を最初に回収した。
金属部分以外では吸盤部分に使い道があるから、当然そこも回収している。
それ以外はこれといった使い道がなく、嵩張るだけなので放棄である。
藍大達はダンジョンを脱出し、真奈に迎えを電話で呼ぼうとしたが藍大が咄嗟に思いついた。
「そうだ、リルに運んでもらおう」
「「え?」」
「ワフ?」
藍大の発言にサクラと舞、リルは首を傾げた。
「いやさ、毎回真奈さんに迎えに来てもらうのって申し訳ないじゃん?」
「そうだね」
「だったら、リルが亜空間に行かなくても良いようにリルに乗って帰ろうかと思って」
「オン!」
それ名案と言わんばかりにリルの尻尾が左右に振られる。
「リル、俺と舞が乗っても平気?」
「オン!」
全く問題ないとリルは首を縦に振った。
「主、私は~?」
「サクラには飛んでついて来てもらう。サクラが早く飛ぶ訓練にもなるし」
「私も主と一緒が良い~」
「後でサクラのために時間を取るから頑張ろうぜ? な?」
「わかった! 頑張る!」
自分のために時間を取る=藍大を独り占めできると脳内で結論付けると、サクラはやる気十分になった。
藍大がリルの背中に乗り、藍大が舞に手を差し伸べる。
舞は藍大の後ろに乗ると、藍大と体を固定するために腰に手を回した。
もしもこれが私服ならばと藍大が思ってしまったのは仕方のないことだろう。
「よし、リル。赤星家に向かってGO!」
「オン!」
「うわっ、結構速い!?」
「藍大、しっかり掴まらせて!」
リルのスピードが予想以上だったため、藍大も舞も驚いた。
すると、リルは<
そのおかげで2人はかなり楽になり、振り落とされることなく赤星家に到着した。
サクラもぴったりとリルの後ろを飛び、車で移動するよりもサクラもリルも楽しそうだった。
藍大達が赤星家に到着すると、真奈が目を輝かせて家から飛び出して来た。
「リル君に乗って帰って来たんですね!? 私も乗せて下さい!」
「・・・クゥ~ン」
「すみませんが撫でるのだけで勘弁してほしいそうです」
真奈に乗せてほしいと言われた途端、リルは急激に元気がなくなってしまった。
その原因が
「そうなんですか?」
「オン」
真奈に訊ねられてリルは首を縦に振った。
リルに振られた真奈は膝から崩れ落ちた。
そんな真奈を放置してサクラは藍大にお願いした。
「主、私も主を抱えて飛んでみたいの」
「俺、遂に空を飛ぶのか。抱えられてだけど」
NOという選択肢は藍大にはない。
サクラのために時間を取ると言った手前、藍大はサクラのささやかな頼みに応じるつもりである。
真奈はリルに振られたショックから立ち上がると、ダンジョンに入る前と今でサクラの変化に気づいた。
「あの~、サクラちゃんって首のネックレスを着けてましたっけ?」
「客船ダンジョンの隠し部屋で見つけました」
「えっ、隠し部屋なんてあったんですか!?」
「知らなかったんですか?」
「知りませんよ! ちょっと兄にもこの話をしてほしいので来て下さい!」
「えっ、ちょっと!?」
緊急事態だと言わんばかりに真奈が藍大の手を引き、そのまま赤星家の中に連れ込んだ。
舞達はそれを追いかけるように中へと入った。
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