作戦会議

「はぁぁ、食った食った」

「本当に、もう食べれないなんて初めて思った」

 シリンも皆と同じことを思いながら、フローラルな香りのハーブをお鍋に入れてハーブティーもどきをつけて一息つきつつ、提案をする。


「じゃあ、眠たくなる前に作戦会議をしよっか」

 作戦会議というワードにレオとラークが反応する。

「なんかかっこいい!」

 期待を込められた瞳に、「盛っちゃったなぁ」と苦笑いをしつつ、シリンは話を続ける。

「これからどうするかだけど、まず明日はこの小屋の掃除をします。」

「えー、かっこよくない…」

 思った通りラークがつまらなさそうな顔をするので、チアリが嗜めようと机に手をついて、身を乗り出したが、天井を見ながらレオがつぶやく。

「この小屋、色々隠れてそうだよラーク」


 レオの言う通り、この家は外から見ると2階建てなのに、天井に大きな穴が空いているだけで、階段がなかったり、調理器具や井戸、部屋の奥にはお風呂とトイレまであって、どう考えても単なる森の奥の廃墟ではない。

 ラークもなんとなく違和感を感じていたらしく、納得した様子でふむふむと頷いた。

「レオが言うなら、間違いねえ。探検掃除ってことだな!」

「そうだねえ、どんな仕掛けが襲いかかってくるかわからないし、頼りにしてるよ」

 半分冗談、半分本気でシリンはいたずらっぽく目くばせする。


 そして、ここからが本題だ。

「それでね、ある程度食べ物が集まったら、近くの国に行ってみようと思うの。」

「ええっ!」

 不安そうな声をあげたのはチアリだった。

「この森離れちゃうの?」

「一応悪魔の森って言われてるしね、長くここにいるのは危険な気かなぁって」

「人のいるところに行ったら捕まらない?」

 チアリが怯えた顔で伺う。


 うーんと、シリンは考え込む。

「あの雷の犯人にされてたら、手配書くらいは回ってるかもなぁ」

 あの神官が暴走したせいで、とんだとばっちりだ。

 だが、あの騒ぎのおかげで逃げられたから仕方がない。


「似顔絵はあてにならないとして、名前はちょっと変えておこうか。」

 これは国を出た時から考えていたことだ。


「うん…」

 チアリが固い顔で頷く、心なしか、他の子達も難しい顔をしていて、シリンの話を何とか聞こうとしてくれているようだ。

「まあそんなに大きく変えなくてもいいし、自分の好きな名前を考えよっか。」

 にこりと笑いかける。好きな名前と聞いて心なしか、難しい顔が和らいだ気がする。

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