第6話 ゴリラに対して過剰戦力では?
◇
◇
目ぇえぇぇぇえぇぇぇぇえ!?!?!?!?!?!?
眩しい!!
ってか、眩しいを通り越して目が痛い!
っていうか背中も痛い。
めちゃくちゃ痛い。
どれくらい痛いかというと、タンスに小指ぶつけた時の10倍くらい痛い!
矢がめちゃ刺さってる!!
何なのアイツら!?
視界が元に戻ったら全員逃げてるし!!
こっちが気持ちよく寝ているときに、家に火をつけるなんてヤバくない?
しかも最後に見た奴、確かモンスターから俺が助けて上げた奴だよね?
感謝するどころか家に火をつけてくるとかサイコパスかな?
この世界に感謝という概念は無いの?
いや、俺がゴリラだからですよね、知ってます。
ゴリラに人権は無いのか?
俺、意外と良いゴリラよ?
しかし、背中に刺さった矢が痛い。痛いというか、少し痺れてきた。ヤバい、何か毒とか塗られてね?
恐る恐る矢に手を伸ばし、ソレを引き抜く。
ズボッと湿った音がして傷口から血が噴き出す。
痛い……これ何に対する罰ゲーム? ヤバスwww
全ての矢を引き抜いた俺は、燃やされたマイスウィートホームの様子を見に行った。
自然に出来ていた良い感じの洞窟に、柔らかな植物を敷き詰めた居心地のよい物件だったのだが、見事に全て消し炭になっている。
ちくせう。訴えてやる!!
……まあ、言葉とか通じないんですけどね!! ゴリラだから!!
しかし、この場所はもう使えない。
居場所がバレているという事は、また寝込みを襲われる可能性がある。
俺はショボショボとその場を後にした。
しかし新たな住処を探すにしても、水は必要だ。
故に俺は川沿いを上流に向けて昇っていく事にした。
下流に向かうと人里とかありそうで怖いし……。
しばらく川沿いを進んでいると、不意に違和感を感じて振り返った。
視界に入ったのは陽光を受けてギラリと光る鋭く大きな爪…………。
爪?
「ギャァアァァアァア!?」
右肩に爪を立てられ、思わず悲鳴が漏れる。
あまりの痛みに暴れると、襲撃者はひらりと身を翻して距離を取った。
涙目で襲撃者を確認する。
軽トラほどの大きさの猫科を思わせる肉食獣。額には立派な一本の角が……。
あれ? 何か見覚えがありますね(汗)
もしかして、先日ボコったモンスターの親戚か何かかしら?
角のあるモンスターと呼ぶのも面倒なので、俺はこのモンスターの事を角虎と呼ぶ事に決めた。
角虎は殺意が抑えきれないといった様子で、歯を剥き出しにしながら距離を測っている。 しかし俺の災難はこれだけでは終わらなかった。
目の前の角虎に対して頭を悩ませていると、背後からも静かな足音が聞こえた。
前の角虎に気を付けながら体勢をいれかえ、横目で確認する。
なんということでしょう! 背後にはもう一匹の角虎がいるではありませんか!?
あの……。
ゴリラに対して過剰戦力じゃないっすかね?
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