第1章 旅立ち編
第3話 新たな武具の調達
彼女、シュルラと共にこの世界を冒険することになった俺は、まず武器・防具を調達しようと武器屋に行く事に。
「あの……武器・防具を買ったら、宿に泊まれるお金、無くなるのではないですか?」
「さっきみたいな敵とまた戦うこともあるだろう。その為に武器・防具を調達する必要があるんだ」
「ですが……」
「ここにはギルドがあるんだろ?ギルドのクエスト受けて金儲けすればいい話だ」
「まぁ、そうなのですが……もう良いです」
可愛くそっぽを向くシュルラ。
何故怒ってるんだ?
そうこうしている内に、武器屋に辿り着いた。
「ここが武器屋なのですね」
「外出た事ないから武器屋初めて見るんだな」
「はい!本でしか見た事なかったのですが、実在したのですね」
俺が転生する前の世界では、殺し屋専門の武器屋があった。
拳銃やアサルトライフル、コンバットナイフ、手榴弾等の強力な武器が一式揃っている優秀な武器屋だったな。
さて、異世界の武器屋はどうなっているんだ。
内心ワクワクする俺。
そして、最初からワクワクしているシュルラ。
「じゃあ、入るぞ」
俺達は、早速中に入る事に。
店内は剣や槍、弓等の武器、盾や鎧等の防具が揃っている。
ゲームでよく見る武器屋だな。
殺し屋専門の武器が無いのか店内を探し回る。
やはり無いか……。
どれも冒険者が使っていそうな武器・防具ばかりだ。
「わぁ、リョウ様リョウ様凄いですね!」
大はしゃぎするシュルラ。
そんなに武器屋に行きたかったんだな。
すると、奥の方から
「何だぁ?初めての客か?」
武器屋の店主が話しかけてきた。
ガタイの良い中年男性のようだ。
「あぁ、初めてだ」
「はい!」
「そうかそうか。で、何が欲しいんだ?」
「おっさんのオススメの武器・防具を教えてくれ」
「そう来たか。ちょっと待ってろ」
数分後、店主が高くて強そうな武器・防具を揃えてきた。
「これが俺自慢の武器・防具だ」
オススメされたのは、剣と鎧だった。
俺は、まず剣を手に取った。
「この剣、そんなに強いのか?」
俺が聞くと、
「あったりまえだ!この剣はめちゃくちゃ強いぜ!」
店主が強く勧めてくれた。
「この剣の名は、ブーストナイトソードだ。刃先がとても鋭く、どんなモンスターでも一撃で斬れる、騎士御用達の剣だ」
なるほど、騎士の剣か。
どんな威力なのか、試してみるか。
そう思い、俺は店内でブーストナイトソードを振るった。
「うわっ!危ねぇな。急に剣を振るうんじゃねぇ!」
「あ、危なかったです……」
「すまん。この剣の威力を確かめてみたかったんだ」
「なんだそんな事か」
そう言うと、店主が奥の方に行き、硬そうな鎧を持ってきた。
「じゃあ、この不良品の鎧でも斬ってくれ」
「いいのか?」
「勿論だ。好きなだけ斬ってくれ」
そう言う店主に対して、俺は確認する。
「マジで不良品なんだな?」
すると、店主が
「あぁ、最初は強かったんだが、段々弱くなって耐久力が落ちたんだ。だから、この鎧は不良品だ」
と、鎧を触りながら言った。
「そうか。なら、遠慮無く!」
俺は、剣を構えた。
ナイフばかり使っていたから剣は初めて使うな。
どれ、ブーストナイトソードの威力、見せてみろ。
そして、シュルラの方を見ると、シュルラはキラキラと目を輝かせていた。
そんなシュルラの期待を裏切らないよう、俺は剣を振るう。
「はぁぁぁーーー!!!」
すると、硬そうな鎧は綺麗に真っ二つに斬られた。
「おぉ~」
「リョウ様、格好良いです!」
流石、騎士御用達の剣だ。
破壊力抜群だな。
「どうだ、イケてるだろ?」
「あぁ、確かにこの剣は強い」
この剣の威力なら、どんなモンスターでも一撃だな。
次に俺は、鎧を手に取った。
「この鎧も強いのか?」
俺が聞くと、
「そりゃ勿論だ。俺は断然この鎧を勧めるぜ!」
またしても勧めてくれた。
「この鎧の名は、ハードゥンアーマーだ。脅威の防御力と耐久力を併せ持つ、俺自慢の鎧だ」
確かに鎧には、防御力と耐久力が必要不可欠だ。
そう思っていたら、店主が聞く。
「じゃあ、早速装着してみるか?」
「いいのか?」
「あぁ、どうせこの鎧の威力も確かめたいんだろ」
おっさん、分かってるじゃねぇか。
「お言葉に甘えてそうするか」
「了解」
店主の手伝い要らずで俺は、あっという間にハードゥンアーマーを装着した。
この鎧、凄い着やすいぞ。
「おぉ~なかなか様になってるな」
「リョウ様の格好良さに磨きがかかりました!」
シュルラの褒め方にも磨きがかかった。
脅威の防御力と耐久力に長けた鎧に身を包むと、何故だか強くなったような感覚になる。
更に、ボロボロだけど多少守ってくれる防弾チョッキも装着しているので、今の俺は、最強の防御力と耐久力を誇る事になる。
「これはいいな」
感心していると、
「じゃあ、このブラッディーブルソードで試してみるか」
俺がハードゥンアーマーを装着している間に準備したであろう黒光りが眩しい剣を店主が持っていた。
「その剣は不良品か?」
そう聞くと、店主が言った。
「誰も買ってくれない剣なんだ。
「じゃあ、マジの不良品なんだな」
「そういう事だ」
色々とおっさん大変だな。
そう思った俺に向かって、店主がブラッディーブルソードを振るう。
あまりの速さに思わず目を瞑った。
このおっさん、ガチで壊しにいってんな。
そう思った瞬間、目を開ける。
なんと、ハードゥンアーマーが傷一つ、ついていないのだ。
それと共に、ブラッディーブルソードが壊れた。
ブラッディーブルソードのお陰でハードゥンアーマーの威力が確かめられた。
「おっさんの言う通り、凄い防御力と耐久力なんだな」
「だから言ったろ?脅威の防御力と耐久力を併せ持つって。ブラッディーブルソードは無駄じゃなかったという事だ」
確かにな。
「ありがとうございました。ブラッディーブルソードさん」
剣に感謝するシュルラ。
律義だな。
「さて、気を取り直してこの剣と鎧一式いくらだ?」
「金は払わなくていい。サービスしておくから」
「いや、ここは払わせてくれ」
俺は、ポケットの中を探る。
すると、クライアント兼同業者からの報酬金・100万が入っていた。
そう言えば転生する前、念の為100万入れてたっけ。
すっかり忘れていた。
なんだよ。
ここで暮らせるくらいの大金、持ってるじゃねぇか。
そう思い、俺は100万を手にし、店主に見せる。
「俺には、100万グレイもの大金を持っている」
「100万グレイ!?そ、そんな大金持ってたのですか!?」
店主ではなく、シュルラが驚いた。
「忘れてただけだ」
そう返すと、
「もう……」
シュルラが頬を膨らました。
「本当に申し訳ない」
でも、待てよ。
あの時もし、100万持ってると気付いていた場合、俺はシュルラを助けたのか。
いや、助けてなかったのかもしれねぇ……。
これも、運命だな。
そして俺は、気持ちを切り替えた。
「どうだ?おっさん。こんなに金持ってる俺が払うと言ってんだ」
そう言うと、店主は冷静に言った。
「初めて来た客に
あくまでこの店のルールなんだな。
しゃーねぇ、ここはおっさんに甘えて、店のルールに従おう。
「了解。おっさんの言う通り、
「おう!好きに使ってくれ!剣と鎧壊れたらまた来いよ」
「あぁ、勿論来るさ。しかも次は
「待ってるぜ!兄さん嬢ちゃん」
別れ際のセリフを言い、俺は武器屋を出ようと歩き出す。
「ちょっと待ってくれ」
店主が俺を止めた。
「嬢ちゃん2人で冒険するんだろ?なら、嬢ちゃんにも武器・防具提供するぜ」
「本当ですか?」
「いいのか?」
「あぁ、嬢ちゃんにはこのノーマル一式をあげるぜ!」
「あ、ありがとうございます!大事に使いますね」
「おう!じゃあ、今度こそまた来いよな。2人とも冒険楽しめよ!」
「はい!」
「了解」
俺達は、武器屋を出た。
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