第13話 回想
宏和に告白され、その返事を伝えるべく、二人は夕方約束をして、遊園地に遊びに行った。
二人でいられる事に幸せを感じながら、観覧車に乗り込み、暫く経過した時、、あの地震は起きた。
すべての遊具の中にいる乗客たちを、助け出す救助隊の活動を、上から眺めていた。
宏和と、観覧車の中で手を繋いで眠っていた事、、。
遊園地の中で閉じ込められ、電気が着くのを待っていた事、、。
そして生まれて初めてのキスをした事、、。
あの夜がなければ、二人はこんなに親密になれなかったかも知れない。
もしかしたら、別れていたかも知れない。
そんな風に思うと、あの夜の出来事すべてが、私にとっては宝物だ。
「ーーところで、あの時何で私に告白したの?」
唐突な質問だ。
「ーーえ?だって、中学生の時に猫を助けてた事あっただろ?俺、その時から夏見の事、好きだったんだ」
「あ、そー言えばそんな事もあったかなぁ?」
既に記憶が曖昧だ。
「ほら、あの時の少年が俺だよ。少しは大人になっただろ?」
宏和はそんな風に言って笑った。
「え?そうなの?」
そんな話をしながら、宏和とまたキスをする。キスをするという違和感にも少し慣れてしまった様な気がした。
二人の顔から笑顔が消える事はないだろう。そう思った。
耳元で宏和が言う。
ーーこれからもずっと一緒だよ。
停電で近づいた二人 なまはげ @husigi
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