第百九十四話:閑話

「ミスティア様、貴方様の言う私の巨人とは、何を指しての比喩なのでしょう? 私は……私という人間は、どんな何が優れていますか?」

明日あす、それを知るでしょう。焦る必要はない、実際に目にしてそれを理解したほうが、遥かに貴方様の力となるから。――リプカ様、明日で、箱入りの令嬢はお終いです」

「…………?」

「おや、虹が出てきましたね」


 と、まるで視えているように空を見上げたシュリフの、視線の先を追うと――そこには雨もないのに鮮やかに現れた、まるで雲のように青色の空に間延びしてどこまでもどこまでも広がる、輝く虹色の光があった。


 口をあんぐりと開けたリプカの横で、シュリフはぽつりと呟いた。



「魔王が目覚める」



 

 

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