リプカの選択・2

 ――シィライトミア領域の、ウィザ連合と比べれば密集するような建物の集まりの中で、威厳をもって閑静の中に座を降ろす、広大な敷地があった。


 そんな荘厳の地の、お屋敷の、背の高い場所で。


 一人の少女――少女だろうか……? 背丈は小さいが不可思議で独特な色香のある女性が、窓辺から手を差し出し、蜂のように忙しなく両翼を羽ばたかせる小さな鳥と戯れていた。


「――さて、あのお方は、どの道を選ばれるか」


 瞬間移動するように落ち着きなくくうを駆ける小鳥の動きにじっと注視しながら、彼女は誰に向けるでもなく、一人ごちた。


「その選択によって、迎える結末が変わるでしょう」


 口端で微笑み、そして彼女は、訥々と、それを言葉にした。



「第一王子に頼れば、貴方様は肝心の気付きに迫ることができる。


 第二王子に頼れば、物事は意外な解決を見せる。


 第三王子に頼れば、貴方様は矜持を失い、代わりに肝心たる気付きと迅速なる成果を獲得する。


 第四王子に頼れば、貴方様は道の果てで、辛い選択を迫られる……。


 第五王子に頼れば、多くが手遅れになるが、事は一応の落ち着きを見せるだろう」



 小鳥の羽ばたきを見つめながら、歌うように語り続けた。


「貴方様はどれを選ぶ? ――けれど、そのどれにしても」



「それは、私の望んだ結末」






  

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