17 guns
protagonist: architect - sentinel:
レクサスISは夜明けの誰もいない首都高を駆け抜けていく。その車の中で、未冷先生と僕はいっしょに後部座席に座っていた。未冷先生が訊ねてくる。
未冷先生「こんなに車が少ないのは、首都高速道路全域に渡り張り巡らせた爆弾を起爆するって声明が出ているから?」
僕は頷いた。
主人公「ああ、公安の協力者が敵のパソコンでそう書いてくれた」
衛理はため息をつく。
衛理「計画通りってわけか……」
その時、高速道路のインターチェンジから複数の車が高速に入ってくる。僕は自分のiPhoneをみながら、告げた。
主人公「あれが僕たちを追う、最後の犯罪者たち。
運転席の衛理は笑う。
衛理「もしかして、すべての同類を殲滅しながら脱出するつもり?」
主人公「そう。ここを潜り抜けない限り、この国に秩序は成立し得ない。彼らの絶望を防ぐのなら、手向けが必要だ」
未冷先生は僕に訊ねてくる。
未冷先生「このやりかたは……」
主人公「僕は警察を操作し、行政を制御する。
未冷先生は首を振る。
未冷先生「君らしくない」
主人公「僕は、ずっと変わっちゃいない。先生のように」
そして未冷先生の目を見据え、僕は言った。
主人公「国家の歯車にでも、奴隷にでも……嘘つきにでも、何にでもなってやる。全ての嘘を狩り尽くしたその果て。約束の地にたどり着くために」
未冷先生はうつむく。助手席の真依先輩は、衛理と同様のP90を引き抜く。
真依先輩「私がやる」
未冷先生はやがて言った。
未冷先生「後方は私にまかせて」
そして彼女はアサルトライフルのM4カービンを引き摺り出していく。
そこで衛理は訊ねてくる。
衛理「ねえ、進路の変更はしたほうがいい?」
僕は答える。
主人公「必要ない。いまここで車を走らせているのは、ここが狩場だと知っている敵達だけだ」
衛理は笑う。
衛理「出し抜く力の大盤振る舞いね……」
そして、レクサスISは加速する。そして後ろに追随しつつある車を引き剥がす。衛理は告げる。
衛理「これでたぶん敵が仕掛けてくる。その隙をついて狙って、未冷」
未冷先生「ええ。まかせて」
未冷先生がパワーウィンドウを下ろし、身を乗り出し、銃を構える。そして後続の車は加速してくる。そして、そこから誰かが助手席から身を乗り出して、銃を構えてきた。未冷先生は告げた。
未冷先生「さようなら、いつかなるかもしれなかった、私」
そして一発だけ、耳を聾する音が響いた。車のタイヤはパンクし、その加速を止められることなく横転していく。そこに一台巻き込まれていった。
僕は呆然とつぶやく。
主人公「たった、一発だけで……」
未冷先生は微笑む。
未冷先生「先生、すごいでしょ。もともとこの三人組で狩りをしてきたんだから。最近、この仕事から離れていたけれどね」
後方から、さらに加速してくる車両が現れる。だがそれは、バイクだった。衛理は言った。
衛理「あいつら早い、追いつかれる」
未冷先生はさらに、セミオートで撃ち抜いていく。一発当て、そしてもう一発当て、バイクたちは横転していく。だがそのバイクの数が増えていく。そしてバイクがレクサスの横についにつけてきて、サブマシンガンをこちらに向けてきた。そこに、大量の銃弾が浴びせられ、吹っ飛んでいく。撃った真依先輩が言った。
真依先輩「私を忘れられちゃ困る」
車は加速していく。だが、車はますます増えていく。幾度かのリロードを終えた未冷先生が言った。
未冷先生「ねえ、この敵どこまで増えるの」
僕は答える。
主人公「ここで叩けば、数十。ここで見逃せば、永遠に増える。これが僕らが押さえ込もうとしている呪いなんだよ、先生」
真依先輩がそこで言った。
真依先輩「あなたもかっこつけてないでなんとかしてよ」
僕は肩をすくめた。
主人公「潮時だね。じゃあ、僕も本気を出そう。みんな、銃をしまって。衛理、この車のスピードを最大限に。奴らを虚構に乗せる」
衛理は笑った。
衛理「何する気か、なんとなくわかった。いいよ、
彼女たちがそれに従って、ドアガラスを閉める。そしてシートベルトを全員閉めたのを確認した時、さらに加速した。他の車たちも、それに追随して加速していく。その中で、僕は合図のために言った。
主人公「これが、この国の本当の力だ」
その瞬間、どこかから隠れていた警察たちが、銃撃を開始する。先頭の車たちに、銃弾が飽和的に放たれ、急停止していく。その急停止の頻度はまちまちだ。だからそれら全てがぶつかっていく。そして運の悪い車は、爆発し、それは連鎖反応を起こした。巨大な火の玉が、後方から上がった。
真依先輩がドアミラーを見つめながら、呆然と呟いた。
真依先輩「なに、これ……」
未冷先生も驚愕していた。
未冷先生「まさかあなた、日本の警察に銃を利用させたの……」
僕は頷いた。
主人公「この国には、大きすぎる力だ。だからそれを使えば、相応の報いが待っている。先生は、よく知ってるはずだ」
未冷先生は呆然とその後方を見つめたままだった。
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