22:00

今日はこれで3人目。

店長に言われたホテルに向かう。


初めてこの店を利用してくれた、サトウさん。

あとで下の名前を教えてもらわないとな。

フリーではなく俺を指名してくれたらしい。

初回なのに俺を指名してくれたの嬉しいな。


俺はホテルに入り、サトウさんが待つ203号室に向かう。


初めて会うのが一番緊張する。

俺は一呼吸置いて扉をノックし、サトウさんが出てくるのを待ち、薄めの扉が開くと俺より身長が高く黒髪ロングが綺麗な女性が現れた。


夏「はじめまして、優治です。写真指名して頂きありがとうございます。」


「いえ、今日はよろしくお願いします。」


ちゃんと喋れる人か。良かった。


俺は部屋に入ってあらかじめネットで書いてもらったカウンセリングシートを思い出す。


夏「お風呂は先に入りますか?」


「あ、はい…。」


緊張してきたのか、さっきより動きがぎこちない。


俺は風呂に入る前に緊張を解こうと、サトウさんの手を引いてベッドに座らせる。


夏「お名前はなんて言うんですか?」


「サトウ…、です。」


夏「よかったら下の名前で呼ばせてください。俺のことは優って呼んでください。」


「…はい。マミです。」


夏「マミさん、肌綺麗ですね。手握った時ふわふわでびっくりしました。」


マミ「ありがとうございます…。」


急に距離詰め過ぎちゃったかな。

目が泳いでる。


俺はマミさんの様子を観察していると、襟が立ってしまっているのに気づく。


俺はマミさんのワイシャツの襟を正そうと首元に手を向かわせるとマミさんは肩を強張らせた。


夏「ごめんなさい。襟が変になってたので。」


俺は襟を正してそのまま服を脱がせようとするとマミさんがそれを止めた。


マミ「…体を見られるのが恥ずかしいので自分でやります。」


夏「分かりました。俺はマッサージの準備しますね。」


マミさんはそのままお風呂に向かって俺はオイルとタオルの準備をしていく。


恋人っぽいことをしたいってところにチェックは入ってたけどこういう事じゃないのか。

うーん…、やっぱり一人一人考えが違って難しいな。


俺は準備を終えて携帯に送られているカウンセリングシートをもう1度読み込んで、マミさんのシャワーが終わるのを待つ。


オイルマッサージを選択してもらってるけどガウンを脱ぎたくないほど体を見られたくないらしいから、バスタオルをいっぱい貰っておこう。


俺は受付に電話して5枚ほどタオルを追加で貰うとマミさんがシャワーを終えて戻ってきた。


俺もサッとシャワーを浴びて一緒に歯磨きをする。


いつもはお客さんの肩に顔を乗せて歯磨きするんだけど、今日は喉が突っ返そうなのでマミさんの腰に手を回して抱きついたまま歯磨きを終える。


俺は若干湿り気が残る唇でマミさんの頬にキスをしてベッドに引き連れ横になってもらう。


けれど、マミさんは本当に体を見られたくないらしくて何度もガウンを直す。


夏「バスタオル、多めにもらったので上にかけますね。」


マミ「…ありがとうございます。」


その言葉で安心したのかマミさんはガウンを直すのをやめた。


俺は受付の人に貰ったバスタオルをマミさんの体に掛けて、その下でオイルマッサージをしていく。


やりづらいけど分かった事が1つ。


マミさんの体には俺にはない皮膚の凹凸がある事。

これはきっと何かしらの跡なんだろう。

事故か自己でつけた傷か知らないけど、それを見られるのが嫌だったんだろうな。


ちょっと目が曇ってたし、色々疲れてたんだろう。


俺はこの時間を楽しんでもらえるように、マミさんの喜びそうな事をマミさんのペースで進めた。




→ PINK BLOOD

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