12:00
良かった。
カエデさんはいつも通り楽しんで帰ってくれた。
俺はそのまま家に帰って布団を干し、ホウキで埃を集める。
掃除機があったら楽だけど、この小さい部屋で万単位の電化製品を買おうとは思えない。
それならメイク用品買いたいんだよなといつも思いながら、俺はちりとりで埃を取りゴミ袋に入れる。
あとは家に足りない日用品でも買いに行くか。
昼間に時間が空いてることは夏休みに入っても少ないだろうし、創作の邪魔にならないうちに多めに買っておこう。
俺は家の至るとことにある貯蓄していた日用品の数を確認して携帯にメモしていく。
…意外と今月分の金も足りないな。
もっと自分の時間削らないといけないかな。
メモを取り終えて炎天下の中、俺は30分歩きドラックストアで買い物をしていく。
家にいないくてもなぜか減ってく日用品。
俺の使い方が悪いのか、この頃やけに消費が激しい。
今度引っ越す時はスーパーが近い部屋にしよう。
せっかくの昼休みがもったいない。
俺は袋3つ分の買い物を終え、家に戻る。
時計を見ると、あと30分で店に向かわないといけない。
あっという間に時間が過ぎていき、自分の時間が無くなる。
どの仕事も自分の時間を犠牲にして過ごすけど、この仕事についてからさらにそう思うようになってしまった。
目に見えてわかる俺の価値。
フリー1時間7200円。
通常のバイトだったら1000円から1500円が良いところ。
これが人の欲求を自分の体を使って満たすメリットでもあるけど、人の欲求って自分では想像出来ない事も当たり前に出てきてお願いされる。
俺はNGが少ない方だからたくさんのお客さんが来てくれるけど、それでメンタルをやられる子が多い。
だから店の人たちの流動性も激しく、新人が入ってきても数週間でいなくなることが多い。
ちょっと小遣い稼ぎ程度で始める子もいるんだろうけど、生半可で入るとトラウマになるからやめた方がいいと俺は思ってる。
それから相手のお客さんが女性だからって言っても、全て自分のタイプの子が現れるわけじゃない。
それはどこの店も同じ。男だって、女だってそう。
顔をある程度気にしないで相手に喜んでもらおうと思えるのであれば、きっと出来るんじゃないかな。
俺は顔より金だったから今までやってこれた。
フリーの絵描きで食えるようになるのが理想だけど、俺と同じ事を思ってる人がたくさんいる現実。
そんな中からぽっと出の俺がすぐに選ばれるはずがないから長く見てあと5年、この生活をする覚悟はある。
夢なら叶えるまで続けろと言われてしまうけれど、死ぬまで全力疾走なんて俺には出来ないから、まずはこの専門学校で俺の個性を確立させる事にした。
卒業してからは今の仕事をしながら描くことになるけど、学校が無い分時間が作れるようになる。
だから、来年の俺に期待しながら毎日を過ごしてる。
今はただ生きるためのお金と学費、画材の費用のために頑張るしかない。
→ LADY
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