28――精霊の歌

♪『


世界の違う私を受け入れてくれたね

何も知らない私 愛する事知った


けれども あなたが想う人は私じゃない

分かっていた事なの それでもお願いよ


隣にいさせて この世界で

生きていくのだと決めた

たとえ恋 叶わなくても


ら・ららー とぅ・ららー

憎みたいのだけど愛しくて

裏腹の心 森の闇誘う

見ないで 見たくない

愛など知らなければ

こんな苦しみも抱かずに済んだのに



世界の危機が私をここに縛り付ける

みんなを救う事は簡単だけれども


異端の力を人は魔女と呼ぶのだろう

彼にも知られたなら ここにはいられない


だけど あの人の命と幸せを

護れるのならば

私はそれを受け入れる


ら・ららー とぅ・ららー

泣きたいのに嬉しくもあるの

大好きな人を この手で救うのは

誰にもできない

私だからこそだと

忘れないで 時々は思い出して



ら・ららー とぅ・ららー

森の精よ 哀れな乙女を

どうか受け入れて

闇に染まらぬよう

光に包まれ静かに眠りたいの

緑の揺りかご 誰も起こさないで



人はきっと私を魔女だと言うけど

それはただの哀しき恋の残骸に過ぎない


森の乙女はいつでも 最期の日が来ても

咲かせた愛の花が あなたのそば揺れる


』♪


【お聴きいただいた曲は『森の乙女』でした。リクエストどうもありがとう!

続いてのコーナーは――】


 静寂の中、彼女の声だけが響き渡る……と、ここで気付いた。攻撃が、止まってる? まるまる一曲分の時間が経っているのに!?

 まさか幽霊たちが、ラジオに聴き入っているのか。向こうもそれに気付いたらしく、死霊使いは舌打ちすると、こちらを指差し二人に命令する。


「襲え!」

『『……』』

「何をしている!」

「スラポン、今だ!」


 何らかのトラブルが生じているこの隙を、逃すわけにはいかない。スラポンは承知し、動こうとしない幽霊の間を突っ切って死霊使いに飛びかかった。


「ギャアッ!!」


 手にした水晶玉で他の霊を呼び出そうとしたところを弾かれてしまっては、丸腰同然だった。今の彼らは命令を聞かないどころか、邪魔が入らないよう周囲を制御してくれているようだ。

 なんか分からないけど、いいぞ!


 ある程度ダメージを与えて押さえ込み、縄でふん縛ってしまえば、さすがの死霊使いも降参するしかない。妙な力を使って逃げ出さないよう、モフィーリアが念のためにとお札を貼りまくっている。


『君たちにはいくら礼を言っても足りない。私たちの死後、ここはごろつきの溜まり場にされたんだ。あまりにうるさいから追い出そうとしたんだが、その中にこいつがいてね』

『久しぶりにエルフィーネの声を聴いて、何としてでも抵抗しなければと、気力を取り戻せました。これでまた安らかに眠る事ができます。本当にありがとう』


 自由になった夫婦が揃って頭を下げる。幽霊にお礼を言われる日が来るとは……ん? 公爵夫人は木霊様の事を知っている?


「なあ、今「それより、ごろつきに占領されていたなら、隠し財産なんて奪い尽くされてませんかね、御主人!?」


 モフィーリアが余韻を台無しにする一言を被せてきたので、僕の疑問には誰も答えてくれなかった……ひょっとして、幽霊もラジオを聴いていたりするんだろうか。


 何はともあれ、死ぬほど怖かったけど、とりあえずこれで一件落着……かな?



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※今回の歌は実際にピアプロの楽曲に応募した歌詞をつけていただきました。

https://piapro.jp/t/zprS

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