fine.白紙の魔術学生

 天月と御咲で、黒服の男を撃退させた。後は、天月コイツから力ずくで、締め上げて情報を吐かせようと、つきかけの魔力を全振りで攻撃に充てた。しかし、天月からかえってきたのは、以外にも戦う意思ではなく、全てを話そうという意思だったのだ。御咲は、自分の周りに弱電として放電しただけで魔力切れになっていた。魔力と体力が限界だったのが分からなかった訳ではないが、程なくして地面に突っ伏してしまっていた。天月は、馬鹿なのかと言わんばかりの面持ちで私を見ている。御咲は、ゾンビのようにただうなだれるだけだった。それを見て何を思ったのか天月は笑った。顔が切り替わるように、真剣な顔となり御咲について話し始めた。なんというか普通では、なかったような感じと今になって思い出す。自分の能力は、電気抵抗が由来となっていることそこから、魔法妨害や電気特性がついた事を話された。ここから、天月は御咲が一体何故記憶を消されるかについて話し始めた。天月は、「御咲、君の記憶を消した魔法者は、君を守るために記憶を消した。君の記憶や体験は、戦争をするには、充分な物なのだ。1億もの魔法術式を覚えたり、何千何百の人を殺すための武術を極めたりと全て人を殺すことを教わってきていたからだ。」そんな最強だった御咲なのだが唯一、催眠系や人を操る系統の魔法が使えず、その耐性を一切有していなかったからだ。そんな危険な状態が分かったのは、今から1年前だ。だから守るために、ちょうど1年前に御咲の脳を破壊して、脳の再構成をする術式を同族が行ったのだ。必要な情報以外を消し殺した。今御咲が自分の事を知ったことでどのような行動をとるのか分からない。しかし、御咲を手助けしようそう心に決めた天月は、自分の電話番号を、御咲に渡した。御咲は、去りゆく天月の背中を見ながら何かを考えている。歩きながら考える天月は、右のポケットに入っている遺書を見て思う「記憶を消した所で残酷な現実は変わらないのにな。でも、御咲の記憶操作は、御咲の父が行ったものだからな。父親が自分の記憶を消した。その事実は、まだ知らなくても構わないはずだよな。」遺書には、ただ「白紙を色紙にただの元通りに」と送り主は、御咲の父だった。天月は、「残酷だ」とだけ吐き捨てるかのように、天月はその場をはなれた。一方で、御咲は藍華と凪にどの様に伝えるか考えている。少し休んだら、歩けるようになった。その時、道に落ちていたボールに足を取られて転んでしまった。不幸は、続く連鎖的に。今日も「最悪」と御咲は、嘆くのだった。

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