旧最終章 色を被った白紙の学生

 研究員に礼を言って一度喫茶店に立ち寄ろうとした時だった。空から私達めがけてバーニングボールとスパークレインそれにライトニングホーンが連続的に、降ってくる。あの3種の魔法は、第2魔法者以上の階級クラスの者しか出せない魔法だ。その魔法が御咲たちに落ちてくる前に藍華と凪の二人は、それぞれの属性の最硬と名高い防御系魔法を発動する藍華は、水竜のハイドロキャッスル凪は、ウィンドシールドとサイクロンウォールそれに、プラントデコイとかなり多くの魔力を使って全力で、護りに入った。元ネタは、どれも神の制裁から逃れるために神が作ったとされる魔術だ。そういった元ネタ有りきの魔術は、とても多く、本当の力をだすには、大きな術式用の儀式場が必要だがこんな短時間で用意出来るわけではないし、第一本当の魔術なら数十分はかかる。ということは、用途だけを抽出した緊急用のものなのだろう。そんなことを頭の中で駆け巡っているうちに数秒たった後に気が付き御咲は、魔法が飛んで来た方を見定めた。すると、赤服3人と黒服1人の男達が宙に浮いている。恐らく、浮遊系魔法だろう。どうやら、赤服の方が魔法を発動させて放ってきているようだ。御咲は、「私は、本当に魔法はなんか使えるのかな?まぁ、ここで初使用か」と若干のため息混じりに呟く、魔法を発動する準備を始める御咲。先程、研究所の研究員が、最後に私の魔法特性を説明してくれた。「御咲さんは、魔法妨害マジックキャンセラーと誘電属性の魔法特性を持っています」魔法妨害は、文字通り魔法の発動そのものをまるで、なかったかのように打ち消してくれるもので、誘電特性では、電気を自分の思い通りに動かし、電気の通るものを本来、電気が持つ力で、物体の運動量を急増幅させて、爆発的な威力を発揮する超速電射レーザーガンが、代表格となる魔法を発動することができます。そんなことを思い出しながら、御咲が魔法妨害の発動の準備を終えた。御咲は、「あの質量の魔法を継続的に放ち続けるには、ある程度の集中力が、必要となるだろう。もしも、1回でも魔法が、途切れると、集中力が切れることに繋がり、今の魔法の質を維持することが出来なくなるはずだ」と踏んでの行動だ。もちろん、御咲の魔法特性を2人は知っているために、それを考えた上での防御系魔法だったのだ。御咲は、合図を2人に出すと同時に、防御範囲魔法を解除して、すぐに攻撃魔法の準備を始める。御咲は、解除された瞬間に天に見放されし万物オールキャンセルを発動させる。その後藍華は、翠迅斬り《ハイドロスラッシュ》を凪は、暴風のテンペストホーン暴植玉リーフシュートそして、御咲は超速電射を同時発動して相手にぶつける。御咲の予想通り、魔法の質量を維持することが出来なかったようで、バランスを崩して地面まで真っ逆さまに落ちる。凪の優しさで地面に接触する直前に、風魔法で衝撃を吸収してくれたようだ。上を見ると黒服に身を包んだ男は、いつの間にか消えていた。残った3人に事情を聞こうとしたが、空気のように消えて行く。どうやらあの男の眷属だったようだ。御咲達は、分かれて周りを捜索して見る。しかし、黒服の男は見つからない。明日、改めて捜索することにした。夕方、自分の寮に帰ると、また黒い紙がポストに入っていた。その手紙の中には、「私は、貴方のことを見ている最近、貴方に接触している」とだけ、その下には、「P.S黒服の男には、気をつけろ!」つまりは、黒服の男と手紙の送り主は、別人だった。送り主がくれたヒントが嬉しい一方で、黒服の男のことが気になる。翌日、二人に昨日の手紙のことを話す。最近、御咲に接触したのは、凪と藍華それに白州先生あとは、研究所の研究員。あの時、調査の結果を報告してくれた天月という研究員は、本当にいるのかどうかを凪が、急いで問い合わせた。ビンゴだ、研究所のどの部署にもいないということだ。しかも、学生地区内に天月という人間は、居ないそうだ。ということは、学生地区の陰となるものなのだろうか。どちらにせよ探している人が、分かったのに探す手立てがない。もし、「私がその状況ならどうするか」御咲は、考えた。路地裏などのその他の人目につかない所を探す。藍華と凪も別の所を探してもらっている。黒い煙を吹いている壊滅状態の研究所が目に入った。研究所の中に入ってみた。本当に、なんにもない少し不気味に思いながら、研究所の最深部へ向かった。いや、正確に言うと、最深部へと続く道以外が、瓦礫の山で通ることが出来なかったから結果的に、ついてしまったのだ。すると、何者かがこちらに歩いてくる。

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