ダンシング・ベィビィ

 早いもので生まれ変わって8か月、いやまだ8か月だ。

 伝い立ちも出来るようになったし、少しであれば”よちよち”歩けるようになったわよ。


 やっぱり人間は二足歩行出来て初めて人間だよ。

 うんうんやっと原始人に進化したよ。



 そして、母の仕事の関係もあるので保育所に預けられることになった。


 そうだ、ここだ、間違いない。

 運命は変わらず私に迫って来る。


 数日後から私は、前回と同じく保育所に預けられるようになった。


 しかし意識は女子高生だよ、凄いだろ、でも体は赤ちゃん、また体のバランスすら上手く取れないんだよ。


 朝は母が保育所に送ってくれるのだが、別れる時には物凄く寂しくなって泣いてしまう。

 おかしいな意識は女子高生なのに、赤ちゃんと言うのはやはり感情がまだ制御できないのだ。


 さて、ここには同じような子供が沢山いる。

 前の人生と同じだから知った顔ばかりだけどね。

 そうみんな幼児なのです。

 だから私より年上も居るのだが大して変わらない状況……


 朝は泣き声の大合唱。

 少しするとみんな落ち着いてテレビ見たり積み木で遊んだり色々やっている。


 朝の大合唱がうるさい。

 お前らが泣くと私も泣きたくなるから泣くなということで、最近みんなの気を引くのに踊りを始めた。


 現代アート・サークルで培った創作ダンスを見せてあげよう!!


 赤ちゃんの体は思うように動くわけでは無いが、それでも一生懸命踊る。


 結構楽しい。


 保育士さんも楽しそうに見ている。


 何より周りのガキ…いや、赤ちゃん達が楽しそうに真似をする。


 そんなこんなで、保育所生活も楽しい。

 送って貰った時は感情の高ぶりで寂しさから泣くが、その後は落ち着いて遊んでいる。


 最近は、保育士さんのリクエストもあり、なぜか踊るのが日課になっていた。


 段々周りの赤ちゃんたちも踊り始めるんだ。

 なんだ、私より大きな赤ちゃんも、なかなかダンスがうまいぞ!!


 「あちゃあちゃちゃmだんんさあちゃちゃ……」うまく話せない。。。


 自分から皆を先導するなんて、前の人生では無かったのだ、結構これは楽しいことなんだ。


 小さな腕を振り上げ、短い脚を振り回すように踊る。

 ぐるぐる回って、そのまま座り込む、それでも立ち上がり、またぐるぐるする。


「ワハハハハ、キャハハハ」


 何が楽しいのか、いやいや全てが楽しいのよ、文句あるかしら!!


 周りの子供たちも同じように笑いながら踊る。


 保育士さんたちはそれを見て微笑みながら、なんか歌っている。


 なんか楽しい、それが2度目の人生の保育所で待っていた。


 ◆   ◆


 ある日、母は私を保育所へ連れて行くのに、ずいぶん”おめかし”をしていた。


(ハハ~ァン、さては私を送って行ったあとで、お父さんとデートするつもりだな)


 そんなことを考えながら、保育所へ着くと、不思議な光景が目に映る。

 大勢の大人が居て忙しく働いていた。


(えっ!!、テレビの取材?、そんなの前の人生では無かったぞ!!)


 そうです、どうやら朝の情報番組の取材が来たようだった。


 しかし、私は捕まえられ、ADさんとかに出番までどこにも行かないように押さえつけられていた。


 あっ、あれは数年後とっても有名になるアナウンサーの江藤梨沙子さんだ!!

 でも、この頃はまだレポータだったのね。


 「今日は、楽しいダンスをする赤ちゃんたちが居るというひまわり保育所へ来ています」


 「ダンスリーダのお子様のお母さまですか?」


(あっ、ママがインタビュー受けている)


 おかあさんは緊張しながら話をしていた。


「うちの子は踊るのが好きで、家でもジッとしていないのよ」


 違うわよ、家ではジッとしていますよ。

 ここではガキ……いや赤ちゃんたちがうるさいから踊って気を引いていただけよ。


「それでは踊って頂きましょう涼子ちゃん、お願いします」


 ADさんは腕を放した、私はお母さんの所に走り込んだ。


 お母さんは保育園で踊っていたことなんか知らないと思うのだが?

 なぜか踊るように私に言う。


「さぁいつもの様に踊りましょう!!」


(しゃあないな、朝の生放送のテレビだし踊るか)


「あちゃあちゃちゃ、だんんさあちゃちゃ……」何時もの調子さ!!


 小さな腕を振り上げ、短い脚を振り回すように踊る。

 ぐるぐる回って、そのまま座り込む、それでも立ち上がり、またぐるぐるする。


「ワハハハハ、キャハハハ」


(何が楽しいのかって、いやいや全てが楽しいのよ、文句あるかしら!!)


 段々周りの子供たちも同じように笑いながら踊る。

 その日は面白く過ぎて行った。


 帰ってから母はご機嫌で私の好きなご飯を作ってくれた。


 私ご満悦!!……でも疲れてそのまま電池切れで眠りに着くのです。


 しかし、この出来事は後を引くことになる。


 少ししてから、とんでもない依頼が来た。

 ある広告会社から打診があった。

「涼子ちゃんを、ぜひA製薬のCMに出演させたいのですが……」


 ちなみに、驚くべきは共演者が後の超アイドルになる”堂本勝呂”だった。


 どうなっているのだろうか?

 超アイドルとデビュー当初の共演者とは凄い縁なのではないか?

 もしかすると、今後この超アイドルとも縁が続くと言うのか……


 母は、そんな依頼に、もう有頂天であったのか「はい、はい、はい」と3回も承諾する。


 いや出演するのは私だよ、私は事後承諾かな?


 でも今起こっていることが、このまま進むと……

 私の人生は、なんか飛んでもなく変わって来ているのではないか?

(まあ、結末は知っている、どうせ短いのだから楽しくなるのは良いけどね)


 そう言えば海道君とは、まだ出会えない。


 恋というには幼児には早すぎるもんね。


 今日も踊るぞ、ダンスだダンスだ!!


「あちゃあちゃちゃ、だんんさあちゃちゃ……」何時もの調子さ!!


 小さな腕を振り上げ、短い脚を振り回すように踊る。

 ぐるぐる回って、そのまま座り込む、それでも立ち上がり、またぐるぐるする。


「ワハハハハ、キャハハハ」


(何が楽しいのかって、いやいや全てが楽しいのよ、文句あるかしら!!)


 本当に楽しいわ~!!

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