第3話 世界歴史

 世界はある日唐突に歴史を捨てた。


 積み重ねた文明も技術も領土も全部捨てて異邦者を排除しようとした。


 結果は新しい歴史の教科書にも書いてある。


 突如として世界中に現れたダンジョン、その正体は原住民の人間は勿論として新人類達も知らない。


 彼らはダンジョンに存在する以前の記憶がない。


 しかし、必ずあるはずの時間がある。


 ダンジョンが出現した時、ダンジョンはその瞬間に生まれている。


 それは最近の研究にも出ていた、中に内在する生物の年季から考えてほぼ間違いなくダンジョンの前にどこか違う場所で生を全うしていたはずだ。


 その研究は今も進んでいる、新人類の持ち込んだ技術スキルの研究とともに。


 世論的にはスキルの解明こそが真理の鍵だとか、信憑性はあるだろうとゆう程度の理解ではあっても受け入れられている。


 そんな世界が文明を忘れた世界、それも600万年とゆう長い時間の波に流されてほとんど残っていない。


 この世界にも新しい文明が生まれ新しい考え方が生まれ新しい力の物差しが生まれた。


 この世界でも何度だって文明が潰えた、スキルの暴力に屈し数の暴力に屈し悪環境の連続に潰れた。


 そうして作られた無数の新しい巨大な文明、黄金時代とも唯一の共和時代とも呼ばれた文明の名前は1人の男が作り上げられた。


 故に男の名前から引用され娥蔵時代(がぐらじだい)と、そう形容される。


 7つの大国の王を育て世界共和を事実上成立させた時代、その平和は彼の死後が危惧された。


 事実として彼が健在の時代は起こらなかった数々の問題が起こった、世論の平和ボケに壮絶な暴動に宗教的な小競り合いに、挙げればきりがないほど。


 その典型が今世を騒がせる過激派『七大罪連合教』だ。


 大国七つを相手にどデカい暴動を幾たびも起こしその活動権と影響力を広げてきた真に化け物と形容されるような存在の集団、主張は一つだ。


 娥蔵 嶺二の砦を早急に破壊すること。


 その馬鹿馬鹿しい程重い言葉の意味を民衆は知らない。


 いや、世論も議会も七大国の王達すら知らないのだろう。


 彼を除き誰も、そんな事実をどうやって知ったかは定かではない、しかし七大罪連合教は明確な目的とともに動いていた。



「では、第5600回連合会議を始める」



 重い声が6人を腹の底から震わせる。


 全員が真っ黒のローブを羽織りフードを深々と被っているから顔は分からない。


 辛うじて見える口元は言を放った男以外プルプルと震えている。


 恐怖ではない、崇拝のような賛美の心からくるもの。


 言を放った男は言いようの無い、つまらないとゆう感情だけが読み取れる口。


 そんな男に視線が集まるのは彼が『蛾蔵の塔』その脅威にいち早く気付き連合を作った実質上のナンバーワンだから。


 本当のボスよりもボスらしいと大人気の男だ。


 彼の目的は、、、

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