第13話  ごめんね



「ただいま〜」

歯医者から帰って来た。

「早かったね。」

「虫歯じゃなかった。削られんかったよ」

嬉しそうに報告する。

「虫歯じゃないのに痛かったん?」

「なんか血の塊みたいになっとるからそれが痛いんかもって 噛んだんじゃないかって」

「歯じゃなくて ほっぺやったん?」

「分からんけど」

「分からんって自分の事でしょ」

「だってどこか分からんけど 歯痛く感じるもん」

「やっぱり真実は鈍子やなぁ」

「おーい なんしとらんや!忙しいげんぞ」

旦那が吠えてる。

「じゃあ家帰ってご飯の用意頼むね」

「はーい」

この時何故口の中を見てあげなかったんだろう。どこに血の塊ができているのかを〜

噛んでできるような場所に血の塊ができていた事を知った時には 次の症状が現れてからだった。

もっとちゃんと話を聞いて

もっとしっかり子供の変化を見るべきだった。

痛いと言っているのに 痛い部分を確認もせず、歯医者について行って欲しいと言う子を

一人で歯医者に行かせて

ごめんね

6年生になって 大きくなった事で

まだまだ子供なんだと言う事を忘れてしまっていた。

ごめんね

ごめん

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