第2話  きっかけ

自営業を営む主人と、4人の娘、そして義母の7人家族。プラス見習い従業員2人の計9人で生活している。

 自営の業種は江戸前の寿司店だ。

町では結構名の知れた店で、芸能関係者もご来店くださき、結構繁盛している。

私は元々料理は苦手でどちらかというと作るより食べる方が専門だった。

就職先も飲食店とは無縁の受付業務。

だからこんな風に飲食店にお嫁に来るとは思いもしなかった。

どちらかと言うと自信もなければ興味もなかった。

そうだ この仕事本当は嫌だったのよね。

なのに何故こうなったんだったっけ?


寿司職人を目指している彼と出会い、ある意味恋愛のゴールとも言える結婚に到達。

恋愛中は楽し・・・くはなくどちらかと言うと「この人とは長く続きそうもないな」と思っていた。

 なのに  何故?

 言える事は

 最初に感じた 意味のないインスピレーションは無視しない方が良い

そして親や、祖母の言葉にも聞く耳を持った方が良いと思う。

「職人というものは 気難しく女遊びもする

 苦労するぞ」

予言?通り 気難しさは天下一品!女遊びも手の指の数には足りず足の指の本数を足してみようかと言う感じ。

中でも一番腹がたったのは 私が頂いたはずの指輪を私の指から外して彼女に渡した瞬間だった。あり得ないでしょ

思い出すだけで手榴弾でも投げたくなる。

普通だったらその時点で「はい さようなら」ですよね

なのに何故そうしなかったのか?

そこは私自身がクエッション

「運命? 縁?」

いや 単に負けず嫌いがでてしまってのかも

何に勝ちたかったか  

それは 世間体 友達 親 そして自分自身

幸せを装いたかったのかもしれない。

ただの見栄か

負けず嫌いではなく 見栄っ張りって事かも

まぁそんなどうしようもない旦那だけど、仕事は真面目 腕も良い

店は繁盛しているし、生活にも困らない。

そもそもこの人と出会う要因となったのは私の大好物がお寿司だった事だもの

毎月お給料が入ると 大好物のお寿司を食べに行く。頑張った自分にご褒美

勿論回らないお寿司屋さん

ご褒美は張り込まなきゃ

どんなお寿司屋さんかというと

居心地の良い 女性一人でも入りやすいお店だった。マスターもさりげなく会話しくれる

あたたかい雰囲気が落ち着いた。

そこで修行していたのが旦那だったという

単純な運命

第一印象? 特にない

何回目か忘れたけど 

「マグロ好きなんですね」

と聞かれ

「はい」

と答えたのが初めて交わした会話だったと思う。それがきっかけとなったかは分からないが 休日を合わせるようになった。

見た目はカッコいい部類だったので一緒にいるのは嫌じゃなかった。

でも一生一緒にいたいとか、好きでたまらないとかの感情はまったくと言っていいほどなかった。

 何故結婚したのか?

それは私も分からない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る