第141話 闇と刻はまどろむ 7



俺の魔法に貫かれたテレンスは瓦礫に落ち、近くによると息も絶え絶えだった。


「お前が…魔力集めの邪魔さえしなければ…勝てたのに…!」


セシルが生け贄になるはずだったリッチをあの廃墟に手引きしたのは、テレンスだったのだろう。

おそらく、他にも魔力を集めていたはずだが、セシルの生け贄は阻止したから、また一つ怨みを買っていたようだった。


そして、息も絶え穢れの残った身体だけが残った。


「オズワルド…よくやった」

「フェルト様…」


側に来たフェルト様はそう言って、テレンスの亡骸の浄化を始めた。


「テレンスは浄化後、亡骸は消滅させる。このままだと間違いなくリッチに変化してしまう」

「…俺はヒースのところにいます」

「そうしなさい」


リディアの肩に凭れるように、ヒースのところに行こう、と言って一緒に行くとまだライアは癒しの魔法をかけ続けていた。


「オズワルド様…大丈夫ですか?」

「もう魔力がほとんどない。休まないと回復出来ん」


心配そうにリディアは俺を支えようと必死で力を入れていた。


「ライア、ヒースはどうだ?」

「命は大丈夫です…少し時間がかかりそうですけど…」

「助かった…リディアも助けてくれたのか?」

「…レオン様が助けろ、と言われましたよ」

「そうか…」


ライアがいなかったら、ヒースもリディアも危なかったかもしれん。

それでも、無事でよかったとほっとした。


そのせいか、少し気が緩んだのだろう。


後ろの気配に全く気付かなかった。


ゆらりと起き上がったアリシアが、リディアに近づき隠し持っていた短剣を振り下ろした。


「あんたも道連れよ!リディア!」

「キャアァ!?」

「リディア!?」


とっさにリディアを身体で庇い、そのままアリシアに背中を刺されてしまった。


アリシアに攻撃するよりも先にリディアを守ろうと、勝手に身体が動いていたのだ。





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