第136話 闇と刻はまどろむ 2
突然の爆音に舞踏会場はざわつき、私はオズワルド様にしがみついていた。
「オズワルド様…今のは何でしょう?」
「わからん…」
オズワルド様の腕の中でバルコニーから舞踏会の中を見ると、アレク様は立ち上がり、舞踏会の客人の安全のため、指示を出していた。
騎士団長であるフェリシア様の兄上のフェルト様は既に、会場から走り出て行った。
爆音のした所を見に行ったのだろう。
「オズワルド様、逃げますか?」
「目的がわからんから、今逃げてもどうにもならん」
そして、舞踏会場のシャンデリアなど灯りが一斉に消え、会場は暗闇になった。
オズワルド様が、灯りの魔法で手のひらに灯りをともすと同時に、アレク様が、灯りをともせ!と叫んだ。
会場にいた魔法を使える者が次々と手のひらに灯りをともすと、まるであちらこちらに蝋燭の火がついたようだった。
その灯りの中、アレク様もフェルト様に続いて行こうとしており、オズワルド様がそれを二階から止めた。
「アレク!どこに行くんだ!」
「状況を見に行く。非常事態宣言を出さねばならんかもしれん!」
こんな状況ですぐに動くアレク様は、勇敢さも備えているのだろう。
その時、バルコニーに外から魔法が放たれた。
「キャアァ!?」
魔法の衝撃で爆風に煽られるが、オズワルド様が魔法で私とオズワルド様を障壁で守ってくれた為に怪我一つない。
お城に攻撃魔法が来るなんてあり得ない!
お城には魔水晶で常に障壁が張られていたはず!
「魔法障壁が破られているぞ!魔水晶が破壊されたんだ!」
オズワルド様は二階から、アレク様に叫ぶようにそう言った。
お城の庭の上空には、黒ずくめのマントを着た男が浮かんでいる。
「あれは…リディア!逃げろ!一階まで走るんだ!」
「で、でもオズワルド様は!?」
「いいから逃げろ!」
足がすくんだ私に、オズワルド様は私の頭を力強く引き寄せキスをしてきた。
その間も、魔法攻撃は続き会場は悲鳴が響いている。
「リディア、落ち着け…あれを始末したら、すぐに戻る。先に安全なところに逃げろ」
オズワルド様は静かにそう言った。
二階にいた他の参加者も、ドレスを持ち上げ一階に逃げようと走っているのが見える。
「邪魔にならないようにすぐに逃げます」
「それでいい…」
「ご無事で…」
オズワルド様の手を握りしめ、私が走り去ろうとした時に、黒ずくめのマント男が飛び込んで来た。
「見つけたぞ!!オズワルド!!」
黒ずくめのマント男は、穢れを纏っているように黒いオーラに包まれていた。
「リディア!行け!」
オズワルド様は走り出した私の後ろに闇の壁を作り、私を追わせないようにした。
そして、私は息つぎも忘れそうなほど走った。
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