第137話 闇と刻はまどろむ 3
リディアを走り去るのを確認して、攻撃して来た人物を見ると、見覚えがあった。
以前、魔法騎士団にいた元騎士団長のテレンスだった。
明らかに敵意があった。
「テレンス!何をしているのかわかっているのか!?」
穢れを纏っている元騎士団長テレンスは以前とは別人のようだった。
その上禍々しさを感じる。
「貴様を落とすためなら、何でもする!!」
テレンスは俺に怨みでいっぱいだった。
頭のネジが取れたように狂っている。
俺に怨みがあるからと、城を攻撃するなんてまともな思考じゃないし、無事じゃいられない。
そして、目の前で対峙しているテレンスに、横から勢いよく魔法弾が飛んできた。
「オズ!敵を庭に押し出せ!城で暴れることは許さん!!」
アレクがヒースの魔法で大地を盛り上がらせ二階と同じ高さに立ち、叫ぶように言った。
そして、ヒースと数人の魔法騎士がバルコニーに飛び込んできて、一斉にテレンスを囲みバルコニーから押し出すように魔法を放った。
「転移魔法を使える者は庭で陣を張るんだ!急いで配置につけ!!」
アレクは王の如く指示を出した。
そして、元々魔法騎士には緊急用など色んなことを想定した訓練は行われている。
大がかりな転移魔法を発動させる為の陣を張り、城以外の場所にテレンスや魔法騎士達を飛ばすつもりだろう。
アレクの指示に何人もの転移魔法を使える魔法騎士達が動き出している。
「殿下!フェルト様の指示で第2障壁の準備がすぐに整います!」
「緊急用の第2障壁は敵を飛ばしてからだ!」
アレクが叫びながら指示を出している間にヒース達と共にテレンスを庭に押し出そうと魔法を放っていた。
そして、魔法を受けたテレンスのマントが裂け、心臓辺りに魔水晶が埋め込まれているのが見えた。
穢れた黒い魔水晶だ。
見覚えがあった。
ついこの間リッチの生け贄の陣にあった魔水晶と似ていた。
リッチが魔力を貯めていた魔水晶にそっくりだった。
俺とやり合おうと、リッチの魔水晶を取り込んだんだろう。
もう普通の人間じゃない。
そんなテレンスを一気に押し出てやろうと、闇を槍の形にまとめて、同じようにヒースも大地の魔法で槌を作り同時に庭へと吹き飛ばした。
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