第135話 闇と刻はまどろむ 1
晩餐会の後は、大きな夜会のように舞踏会が開かれていた。
きらびやかなシャンデリアの下でオズワルド様と一曲ダンスをすると、夫婦になった今でもオズワルド様に見とれてしまう。
そして、ダンスが終わりオズワルド様に手を引かれて中心から下がると、レオン様とセシルさんがやって来た。
レオン様の一歩後ろには正装した護衛のライア様もいる。
「リディア様!お会いしたかったです!」
嬉しそうに来てくれたセシルさんは以前よりも色艶もよく、笑顔が可愛らしかった。
レオン様とセシルさんは毎日は一緒にいられないけど、手紙のやり取りは欠かさず、レオン様がとても大事にしているとわかる。
レオン様と婚約するのもセシルさんの魔法学校の卒業を待つと決めているらしい。
だから、今はセシルさんはレオン様の婚約者じゃないから、結婚式も今日の晩餐会もレオン様と出られなかったと話してくれた。
それでも、舞踏会ならと陛下とアレク様の許可がおり、レオン様はセシルさんをエスコートしてきたのだ。
思わず、セシルさんは地雷女じゃありませんから、頑張って下さいね!とレオン様に言いたくなる。
そんなセシルさんに私は随分懐かれている。
「セシルさん、ドレスがお似合いですよ」
「レオン様が全て準備して下さいました」
セシルさんは頬を染めて恋する乙女のように話した。
セシルさんも随分レオン様に惹かれているように見える。
レオン様、また浮気したら今度はオズワルド様にトドメをさしてもらいますよ!と顔には出さないが私の心の声は燃えていた。
そして、ライア様がオズワルド様に、セシルのドレスの準備にレオン様は陛下に借金をしたんですよ。とこっそり耳打ちしていた。
陛下にとったら、レオン様に金をあげたいのかもしれないが、甘やかさないということで、レオン様には借金という形で金を貸したらしい。
レオン様、アレク様の宮の弁償に加えて借金が増えて大丈夫でしょうか、と思うけど最近は以前よりも益々仕事に精を出しているらしい。
「セシル、魔法学校はどうだ?」
「はい、とても楽しいです。色んな種類の魔法草も覚えているんです」
「そうか…良かったな」
オズワルド様が、微笑ましくそう聞くと、セシルさんは学校生活を思い出したように、また笑顔になった。
そんなセシルさんにオズワルド様はフッと笑みがこぼれた後は、レオン様の方を真剣に見た。
「…レオン様、最近誰かと会いましたか?…面識のない人間とか…」
「…誰か?仕事では人と会っているが…」
レオン様は困ったな、というように首を傾げてしまった。
「不審な人物ということですか?レオン様は仕事と邸の往復で不審者とは接してませんよ」
ライア様も、おかしなことはないというように言った。
そして、次の一曲が始まると、レオン様はセシルさんをダンスに誘い二人は中央に歩いて行った。
ライア様は、お邪魔しては悪いので、と私達とは別の場所からレオン様二人を見守っていた。
「オズワルド様…多分今回はレオン様は関係無いと思いますよ」
「そんな気がする」
関係無いとわかっていても、オズワルド様は確認せずにはいられなかったのだろう。
「オズワルド様、セシルさんが元気になって良かったですね」
「レオン様と言うのが少々気に入らんが…」
それは私も思います。
「…もしまたレオン様が浮気したら、遠慮なくやっちゃいましょう」
「任せろ」
そして、二人で微笑ましくセシルさんのダンスを見守り、私とオズワルド様は舞踏会の熱気を冷ますように、二階のバルコニーに出ていた。
そんな微笑ましい舞踏会に、突然大きな爆音が鳴り響いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます