第4章 アリシア脱獄編
第130話 ヒースの休暇 1
今日からヒース様が、休暇でやって来る。
「ヒースが来るから、独身の令嬢でも呼んでやるか……」
「夜会ですか?」
「呼ぶのは4~5人でいい。晩餐と歓談ぐらい出来ればいいから、準備だけしてやれ」
このブラッドフォードは森の奥に邸があるから遅い時間になれば帰れないから、早めの時間に晩餐を始めることになるわね。
「オズワルド様、楽団は呼びますか?」
「金がかかるから、楽団はいらん。魔法の竪琴とかがあるから、リンクスに出してもらえ」
アレク様の宮の修理費に結構なお金を使いましたからね。
それでも、まだ結構な資産があるんだから、ブラッドフォードは凄い。
いつも通りお茶をしながらそんな話をしているとあっという間に時間になっていた。
「そろそろ、ヒース様がつく頃ではないですか?」
「では、迎えに出るか」
オズワルド様と腕を組み、玄関まで行くと、すでにリンクスが懐中時計を見ながら玄関で迎えのために立っていた。
そして、予定通りヒース様は到着した。
「よく来たな。ヒース」
「ああ、3日ほど世話になる」
「ヒース様、ようこそおいで下さいました」
「お世話になります。リディアさん」
丁寧に挨拶をしたヒース様は、今日はイライラしてなかった。
会う度にいつも怒った顔だったからちょっとだけホッとした。
まあ、いつも怒らせているのはオズワルド様だけど。
荷物下ろしを下僕達に任せ、ヒース様とお茶を準備している居間に行くと座るなり一つの書簡を出してきた。
「オズ、アレク様から書簡を預かっている。アレク様の結婚式のことだ」
オズワルド様に書簡を渡し、ヒース様は疲れているのか冷たいお茶を飲んでいた。
オズワルド様は書簡を読むと、私に読めというように渡してきた。
「これ……お城の結婚式のバルコニーでの御披露目の時にオズワルド様も並べということですか?」
「そうだな」
アレク様の結婚式にはパレードもあり、王都の街を周り、その後はお城のバルコニーから陛下やアレク様たちがそこから民衆に手を振ることになる。
アレク様たちのバルコニーの下の階のバルコニーからは、有力公爵達が並び一同に手を振ることになる。
簡単に言えば、アレク様の下にはこの有力公爵たちが付いているというアピールだ。
そこにオズワルド様も並べということの報せだ。
「凄いじゃないですか。でも、私達の謹慎がアレク様の結婚式までとはいえ、そんな家が並んで大丈夫なのですか?」
オズワルド様はアレク様の宮破壊の実行犯ですが、いいのでしょうか。
オズワルド様は破壊魔ですよ。
「アレク様やフェリシア様の希望ですし、ブラッドフォードは有力公爵に間違いはありませんからね」
確かに、この領地に特に魔水晶の鉱山の魔水晶は王宮に献上するくらいだから、王宮では無視出来ない存在だろう。
「ヒース様も並ぶのですか?」
「俺はその日はアレク様の護衛につきますので、ずっとアレク様の後ろにいますね。それに、アスノーム公爵家の当主は兄上ですから、兄上がバルコニーに並びますよ」
アスノーム公爵様は確かヘクター様だった。
ヒース様とは、少し歳が離れている方だった気がする。
時間が戻る前には、一緒にレオン様と私と晩餐をしたことがあったはずだ。
「ヒース様、明日は歓談程度ですが、ご令嬢もお呼びする予定ですのでごゆっくりして下さいね」
「ええ、ありがとうございます」
「では、私はこれで失礼しますね。お二人でごゆっくりして下さい」
友人同士の積もる話でもあるだろうから、私は席を外し、その場を後にした。
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