第119話 闇に溶ける 4
廃墟にはよく見ると、敷地内には闇の魔素を含んだ草が生い茂り、入れないように闇がカーテンのように垂れ下がっていた。
「ヒース、これは何だ?」
「中に魔物がいるんだ」
「魔物?」
「セシルの話を聞いて、リンハルト男爵に魔水晶の取り扱いを調べに行き、その後この廃墟の魔水晶を調べに来たら中に魔物が住み着いていたんだ」
「何の魔物だ?これはどうみても闇魔法だぞ」
「恐らく、リッチだ。ぼろ切れのローブに骸骨みたいな顔だった」
行きたくない。
リッチは相性が悪い。
同じ闇魔法同士がやってどうするんだ。
同じ属性なら、魔力をかなり使わないといけないんだぞ。
「大体なんでリッチがいるんだ?」
「…多分魔水晶のせいだ。リンハルト男爵がここに置いていた魔水晶から魔力を補充しているように見えた」
「…頭に王冠はあったか?」
「…どうかな…なかったと思うが…」
リッチがハイクラスになればデイモスリッチになる。魔水晶から魔力を補い続ければ可能性はあるな。
「オズはあの闇のカーテンみたいなものを消してくれ。俺たちでは消せないんだ。中には俺が入るから」
ヒースに言われて、廃墟を中心に敷地内を囲んでいる闇のカーテンみたいなものを消すと、ヒースは一人で中に突撃した。
本当はライアと行くつもりだったのだろう。
ここは田舎だから、第1級魔法騎士はいない。
この村は比較的危険はなかったのもある。
責任者でさえ第2級魔法騎士だろうがおそらく力はライアの方が上だ。
「誰か魔法弓を持ってないか?」
残っている魔法騎士にそう話しかけると、一人の魔法騎士が、ここに、と出してくれた。
「光の魔法を付与してくれ。中に入る」
行きたくないが、ヒース一人に行かせるのも心配だった。
そして、少し遅れ廃墟の邸に足を踏み入れた。
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