第118話 闇に溶ける 3
廃墟に着くと、廃墟となった邸を中心に囲むように敷地の周りに魔法騎士達がいた。
廃墟の門の前にはヒースとライアと、おそらくこの村の担当の責任者の魔法騎士がいた。
「リディア、着いたぞ」
「…オズワルド様…速過ぎです」
「少し速いと言っただろう」
「少しじゃなかったですよ…!」
リディアを降ろしていると、ヒースとライアが近付いて来た。
「オズ、リディアさんまで連れて来たのか?」
「しょうがないだろ、パブに置いて行くわけにはいかんし、知らない者と二人にはさせたくない」
リディアはすみません、と言いながら俺の服を掴むようにもたれかかった。
早馬で疲れたのだろう。
「急ぎじゃないなら俺はリディアを邸に送って来るぞ」
「いや、オズの力はいる。リディアさんは…」
「なら、ライアが邸に送ってくれ。送った後また来い」
「…俺、何回往復するんですか?」
面倒くさいなー、というような顔でライアが言ったが、渋々送ることに納得したようだった。
「馬車はないので、二人乗りで帰りますか?」
「そうですね」
「ダメだ!」
他の男と二人乗りなんて何を考えているんだ!
「リディアが馬に乗ってライアが引いて帰ればいいだろう!」
「…時間がかかるんですけど」
ライアがそう言うとリディアも、そうですよと言ったが、ダメなものはダメだ。
「お前、俺の時はすぐに焼きもちを妬くくせに…!」
「私はオズワルド様みたいな、たらしじゃありません」
とにかくダメなものはダメだ。
「ライア、リディアに指一本でも触れたらどうなるかわかっているだろうな」
「恐ろしいことを言わないで下さい!」
ライアに釘を刺したところでリディアの頬に唇を落とし、すぐに帰るからな、と言った。
「起きて待ってますからね。気をつけて下さい」
リディアがそう言ってくれると、少しは頑張ろうかなとも思う。
そして、ライアが馬を引き、リディアと二人で邸へと向かって行った。
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