第2章 レオンハルト編
第101話 レオンにも出会いがあるのか 1
兄上が王位に就いたら、私は王侯公爵にでもなるだろう。そしたら、王侯公爵の仕事もあるが領地も運営しないといけない。
いつまでも人に頼らず自分で資産を作り領民が安心して暮らせるようにしたい。
父上から頂いた資産はほとんど兄上の宮の弁償に当てたから私個人の資産はもうほとんどないが、これから自分の力でまた作り、足りない分の弁償もしていかないといけない。
そして今日も領地を周り、昼からは執務室で書類仕事をしていた。
「レオン様、リンハルト男爵がお越しです。お通ししますか?」
「通してもいいぞ」
リンハルト男爵は父上の土地とは別に土地を所有し、小作人も抱えている男爵だ。
魔法草の栽培もしていたはずだが、それなりの資産家なのだろう。
部屋に通したリンハルト男爵は挨拶をすると、直々に夜会に誘ってきた。
「皆様レオンハルト様に是非お会いしたいと願っています」
リンハルト男爵には娘が二人いたはず。
おそらく俺と引き合わせたいのだろう。
しかし、夜会に行く気分ではない。
娘もいらない。
いつものように断ろうとすると、ライアが先に返事をした。
「ぜひお伺い致します」
何故勝手に返事をする。
リンハルト男爵はライアの返事に笑顔になり帰ってしまった。
ライアと二人っきりになり、何故返事をしたと問いつめようとすると、先に言われてしまった。
「ずっと仕事と邸の往復だけじゃつまらないですよ。レオン様はもっと人と関わった方が良いです」
何だかつまらない人間だと言われている気になった。
そして、自覚があるのか言い返せずボンヤリと机に座ったまま、ペンをクルクル回していた。
ライアと夜会に行くと近隣の貴族が少なからず出席しており、まあまあの人の集まりだった。
リンハルト男爵の邸は思ったより大きく、バルコニーから庭で休めそうだった。
挨拶を済ますとさっさと庭に逃げられると思った。
田舎ではそうそう王族と会うことはないせいか周りは必死で挨拶をして来るように感じ、それが疲れを増すようだった。
リンハルト男爵は娘と夫人を連れて挨拶に来た。
「レオンハルト様、娘のアメリアです」
「お初にお目にかかれて光栄です」
甘い猫撫で声は何だか不愉快だった。
以前ならこんな話し方の娘は可愛いと思うことはあったが何故だか今はそう感じなかった。
挨拶もそこそこに一歩後ろにいるライアに話しかけた。
「ライア、挨拶は終わった。少し庭にいるから、君は好きにしてくれ」
「庭から見える所にはいますからね」
ライアにそう言われ、周りが捌けている隙にさっさと庭に逃げるようにバルコニーから外に出た。
庭はまあまあ広く、整えられていた。
どちらかといえば庭園というより、芝生が広がり日中に見ると緑が広がり綺麗ではという感じだった。
ふと、ライアの方に振り返るとライアは社交的でそつなく歓談していた。
これならすぐに来ることはないだろうと思った。
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