21g

幽霊船に乗り込んだ僕たちは

降りることも出来ず当てもなく彷徨い続ける

ただ床板に落ちた金貨を拾っている

それの何が楽しいのかい


帆は風に惑わされ揺らいだ

転げ回って死に急ぐ死神

悪戯に遊び飽きて首を吊った人々

あんたたちは何を見てきたんだ


消耗品如きの愛憎が何だって

終わらないエンドロールを巻き戻している

神様なんて信じてみろよ

お前らさえ自分のこと分からない癖に


魂を焦がしてみろよ

些細な感情、道徳全部捨て去って

飴玉を転がして誤魔化しても

見逃されない己の眼


鳴り止まない雷鳴と亡霊

忘却は暗唱の裏側

息をすることもただの非日常へ


失せてしまった衝動と

零れた安寧への欲求と


I know, 咆哮は悪意をばらまき

I know, 夢は真実を映し出す


口蓋から垂れ流した涎は躰を汚し

拭い去れども黒ずんだ皮膚は残る

焼け爛れた舌と潰された左目

きっとそれもまた愛なのか


混迷したエンド、変わらない暴走

泣き寝入りしたまま行き場を失ったつもりのまま

また消えるのかい、また見えないのかい

それがいつもの日常だ


肉体から抜け出せよ

些細な欲望、倫理全部捨て去って

飴玉を吐き出して偽装手段を失う

それでいい、僕は僕の姿だ


血を流して、知を飲み干して

地を這って、智を作り替えて

稚を抉って、痴を流し込んで

それでも僕らは彷徨って生きていく

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