第43話 Re: というわけで、行ってこい


服がビリビリに破れ、体中青あざだらけで出血している二柱。。。お互いもう動けない様で、主神は片膝立てて座り肩で息をしており、イオンは床に大の字になって胸を大きく上下させていた。。。


「・・・んで、どれくらいマズイんだよ。。。」

最終的にイオンが折れる形になった。よっぽどの事情が無いと自分の息子にこんな嫌がらせをするわけがないくらいは理解している。ただ、そのよっぽどの事情を知る必要がある。


「・・・お前はやっぱり優しいのう。。。そうなんじゃ。ワシも自分の息子にそんな辛い思いなんかさせとうなかったんじゃが、1万年前から大体どういうことになるのか予測がついとってな。。。結局その悪い予想通りになってきておる。


知っとるかもしれんが、ワシらは現在2,880の世界を管理しておる。聖神、神魔でだいたい半分ずつ世界を分けているのじゃが、ここ数千年、世界の消滅、創世の頻度が極端に上がってのう。。。


ところでお前、世界が消滅する際、そこにいた生物の魂はどうなると思う?」


「普通に考えりゃ次の創世のエネルギーとして使われるんじゃねーのか?余れば次の世界の生物に使われるだろ。」


「そうじゃ。ならば、仮に、じゃぞ、創世された世界の規模が前の世界に比べて小さかったり、生物の量が少なかったりしてたら?」


目を閉じ数秒考えこむイオン、その後ゆっくり起き上がりながら頭をボリボリとかきむしる。

「・・・ハァ・・・馬鹿が徒党を組んで魂をピンハネしてんのか。。。ヤレヤレ・・・聖魔様はある程度気付いているんだろ?」


「ワシ等代表者委員会に任せる、とだけ。それからワシ等10柱は各々異なる手段で原因を探ってきたんじゃ。


世界の消滅の際、魂の流れを監督する神、

ここ数千年の間、急激にエネルギーを増大した存在を探る神、


独自の情報網で調査を続ける神、


魂のエネルギ量とその数を増やす研究をする神、


傍観する神、


・・・そして、潜入捜査をして原因を特定しようとする神・・・じゃ。」



「・・・本当に・・・全く以て・・・、ハァーーー。。。あんたらの都合で消されたり、作られたりしてる生き物の事とか考えた事あんのか?ってオヤジはそれぐらい分かってるか。。。


やり方は許せねーけど、事前に教えられてたら1万年なんて耐えられなかっただろうし、このまま魂が搾取され続けりゃまぁロクな事が起こらないだろうなぁ・・・。ハァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


んで、やっぱ俺か?理由はなんとなく分かったけど。。。ところでオヤジ、弱くなってないよな?」


「主神であるワシが1万年やそこらでモウロクするかい!!ハッキリ言ってこの聖魔様を除いて天界じゃ最強能力者の一角じゃ!!!」


「だよなぁ・・・。。。」

1万年前は殴り合いにすらならなかったが、いつの間にか天界最強の一角とゴリゴリの殴り合いができた。。。自分でもどう感情を持っていったら良いのかわからないイオンであったが、自分が行かなければならない理由はその能力と、このオヤジ(主神)の息子という立場だから、というのも理解していた。


「それでその魂を奪っている奴らの検討はついたのか?」


「お前がアースで突き止めた、クロア・ディン・カルトロスとやらはもうこっちで捕らえて聴取は終えとる。まぁ、なんとも、末端の末端でなんの情報も取れんかったわい。」


「あぁーーーーーーーーーーーーーーー、んとにもうっ!!!俺が折れるしかないのか?折れるしかないんだろうな!


本当にもう!!分かったよ!んで、次は何処なんだよ?!」


「・・・ありがとう、イオン。」

ホッとした顔で笑う主神、渋々顔のイオン。


はぁ、しょうがねぇなぁ。。。


「次にお前が行くのはガイア。アースよりも歴史が長く、規模も大きい。当然神気も使えるが、魔力も使える世界じゃ。呪力は存在せん。


実はもっと早く何とかしたい世界が他にあるんじゃが、お前には段階を踏んで欲しくてのぅ。今度の世界の神はお前もあったことがあるじゃろう、ミッちゃんじゃ。」


「あー、あのミッちゃん?って、魔力が使えるのは良いんだけど、呪力はねーのかよ。色々と足らずが続くなぁ、まぁ良いけど。とりあえず、会って話をすりゃ良いんだろ、その前にウチに帰って久しぶりに母さんと話を・・・」


「というわけで、行ってこい、我が息子よ!頼んだぞ!!」


「オイ、話聞けよ。マジかお前?!またこのパターンか!!!このクソがぁーーーーーーーーーーー!!!」


前回と同じく、俺は問答無用で転送された。よっぽど俺と母さんを近づけたくないらしい。アイツ母さんにはどういう説明してんだ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る