第38話 さよなら
「さてと、明知。。。というか、本当にお前だったのか?」
全速力で走ってきたので、本当は息が荒いのだが、落ち着いた風を装って、時間稼ぎをするイオン。ゆっくりと蝶達の方に歩を進める。
僕は僕が今できることをするよ、父さん。。。活性化により傷口を治していく玉若。
(母さん、ねねさん、治癒と活性化で僕の身体を治して。。。早く!!!)
(分かったわ、待ってなさい!!!)
「もう少しかかると思ったのですが・・・思ったよりも早かったですね。。。こちらの予定通り、だいぶ気力を消耗していますね。後はお二人を切っておしまいです。」
「そう簡単にはいかねーさ。」
ゆっくりと深呼吸で息を整える。3人まであと10m。
「かかれ!!!」
と攻撃指示を出す明知、当然攻撃対象は蝶達3人。
させるかよ、と死んだ一般兵を玉若の前に投げ込む。
(それを弾避けに使え!!!)
(さすが父さん、この悪魔!)
(神だよ、一応!!!)
死体で手裏剣、クナイなどの投擲武器を受け止めさせておけば、とりあえず飛び道具は大丈夫だな。三人を横目に見ながら、弱い順から順番に切り伏せていく。あと10人、9人、8人。。。
ただ、気力の消耗が激しかったな、雑魚でも少し時間がかかる。あと7人、6人。。。
雑魚を相手にしている間、かなりの使い手が切り込んでくる。普段の玉若クラスの攻撃だ。。。今このレベルの攻撃はちょっとしんどい!!!
そうこうしている間に、明知が刀で背後から攻撃をしかけてきた。クソ、こいつも玉若クラスだ。。。実力を隠していやがったのか?このハゲ!!!。
二人を相手していると、蝶達の方から炸裂音がした。お得意の自爆攻撃か!
(大丈夫か玉若?)
(・・・お陰様で三人とも死体を盾に爆風を防いだよ。ただ盾になってくれた死体がもうグチャグチャだ。あっ!!)
爆風に紛れて敵の槍がねねの下腹部に突き刺さる!!!
「プフっ・・・!!!」
腹を刺し貫かれながらもねねがその槍を固定し、敵の動きを止めている間、玉若が敵の頸部にクナイを刺す。
「ねね、しっかりしなさい、ねね、ねね!!!」
「・・・ちよ姉ちゃん、う、後ろ。。。」
蝶の後方から敵二人がクナイで投擲攻撃を仕掛けている。
「やらせるか!!」
玉若が左右の手でそのクナイ手掴みし、敵の頭部に投げ返す。
あと4人。
「母さんの治癒ではねねさんが死んでしまう、代わって!!!」
そう言いながら蝶をどかし、槍を抜きながら玉若がねねに治癒を施していく。
一方ねねも鬼の形相で敵を攻撃し、敵を仕留めていく。後2人。。。
形勢が徐々に悪化してきた明知はイオンに対して問いかける。
「・・・神であるあなたが転生までして何故この世界を守ろうとする?」
「逆だ。神ならば何故人間を守ろうとしない?」
「・・・」
「・・・ハゲ。。。お前の意志はどうなんだ?ここ数年ともにこの国を統一しようとしている中、一緒に泣き、笑い、喜んだだろ?あの時のお前の感情は嘘じゃないと俺は信じている。」
「・・・(やめろ)」
「お前の神は人間が嫌いか?」
「・・・(やめてくれ)」
「お前の神は今のお前を見て褒めてくれるのか?」
「・・・それを神である貴方が私に言うかーーーーーーーーーーー!?お前達神共が何をしているのか分かっているのか?
これ以上あなたと話すと頭がおかしくなりそうだ。。。決着をつけさせてもらう。」
明知ともう一人は覚悟を決め、ねねを治療中の玉若に向かって気を全開にして突っ込む。
ねねに集中しなければ死んでしまう事が分かっている玉若は動けない、動かない。
蝶は明知に必死の攻撃をし続けているものの、攻撃のレベルが違いすぎ、且つ死兵となった明知の突撃は止まらない・・・。
クソ、やっぱりこうなったか!!!身体には大量の爆薬が巻かれており、このあたり10m四方は吹き飛びそうだ。
・・・フゥーーーーーーーーーーーー、・・・しゃあないか。。。覚悟を決め3人に念話を送る。
(ねね、正吉と源三と雷太にはよろしく言っといてくれ。サルをあんまり虐めんなよ!)
(玉若、あんまり気負うなよ。お前は気楽にやってるくらいがちょうどいい。すまんが後は任せた。)
(蝶。お前達を守るにはこれしかなさそうだ。なんだかんだお前との生活は楽しかった。お前の膝枕、最高だったよ。愛してる。。。)
俺は神気を100%全開にして、明知ともう一人に体当たりし、その二人を抱えたまま走り、蝶達から離れる。
「イやーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
「父さんっ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!」
俺は蝶と玉若に向けてふわっと笑い、
俺の身体は爆発、四散した。
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