第37話 父来る
(オイ息子、今どこだ???)
(本納寺、まずいよ父さん、もう囲まれちゃったよ。300人くらいの敵の中に仮面衆くらいの手練れが15、6人くらい混じってる。僕はともかく母さんとねねさんは逃げきれない。)
(敵はそれも織り込み済みだろうよ。んで、敵はハゲか?)
(ハゲハゲ言ってるけど、ちゃんと明知って名前があるからね。「ハゲ~~~~」とか大声で言ってるから裏切られちゃうんじゃないの?)
(イや、封建社会のこの社会ならある程度パワハラも許容してもらえると思っていたのだが。。。すまん。。。)
(ちょっとあんた達、ハゲで盛り上がってないで何とかしなさいよ。父ちゃん、何時来るのよ!!!)
(父ちゃんって、オイ。。。まぁ、もう少し踏ん張れ、今全速で走ってる。今美和湖を通り過ぎたところで、あと半刻かからない。)
(敵が火矢を打ち込んできたわ~。焼き殺される~~~!!!あぁ、ヤッパリ美人薄明って本当だったのね。御屋形様、ごめんなさい、ねねは美しいまま死んでいったってサル顔のサル旦那に言づけてもらえないでしょうか?
きゃ~~~、アツーーーーーーい、やっぱイヤーーーーーーー!!!)
(ハァー、分かってる分かってる。その様子だともう少し踏ん張れそうだな。。。)
(とにかく急いでよね!!!四歳で殺されるなんて絶対嫌だからね!!!)
(全力で急いでるよ!!!集中するからいったん念話を切るぞ。待っとけ!!!)
と言いながら、なお全身の気を巡らせる。ただブッ通しで走り続けたせいで気がどんどんと目減りしている。これもチョットまずいな。。。
「敵も攻めきれてないっていうか、なかなか思い切った攻撃を仕掛けてこないね。」
「ちょっとおかしいわね、まるで何かを待ってるみたい。。。」
・・・良くないね。。。見た目は幼児、頭脳は大人の玉若は敵の作戦の全景が分かってきた。
陽動による戦力の分断と最大戦力の弱体化だ。
ちょっと本気にならないと、父さんと僕、二人揃ってやられちゃうな。。。とそんなことを考えているタイミングで、敵の攻撃方法が変わってきた。火あぶりで体力と気力を削る作戦から銃弾と炸裂弾攻撃に切り替えてきた。
マズイ、父さんが近づいてきているのか。クソっ・・・って父さんの口癖じゃないか。ダメダメ、僕はもう少しスマートに生きていくんだから。でもこの銃弾と爆弾の嵐はちょっとキツイ!!
「母さん、ねねさん、僕の後ろにちゃんと付いててね、あとクナイとか投擲武器、全部僕に回して!!!」
そう言いながら玉若は炸裂弾を投擲武器で無力化、銃弾は驚異の動体視力により刀で弾き返す荒業に出た。
「化物かあの子供は・・・」
呆然とする敵軍勢に、クナイ、庭石、槍など、玉若の周りにある物がすべて投擲武器に代わり、敵の頭に突き刺さっていく。
「凄いです若様、あともう少し若かったら若様に嫁ぎたかった!!!」
と言いながら玉若の頭をくしゃくしゃにするねね。
「ねねさん、危ないから僕の後ろから顔出さないで!!!」
銃弾がねねの頬をかすり、たまらず玉若の後ろに隠れるねね。
しかしながら銃弾と炸裂弾の攻撃は緩むことなく浴びせ続けられ、玉若の気力と体力はどんどんそがれていく。銃弾が玉若の腕にめり込み、爆弾の破片が小さい体に突き刺さっていく。ずるずると足がくだけていき、地面に膝をつく。。。
「ちょっとマズイよ、父さん。。。」
「・・・御屋形様、助けて。。。」
絶望的な表情を浮かべ祈るねね。
「玉若、玉若ーーーーーーーーーーーーーー!!!」
叫びながら自分の身体を盾にし、玉若を抱きしめ、守ろうとする蝶。
・・・そんな中、敵の攻撃が一瞬止まった。銃撃、炸裂弾係の一般兵全員の頭がジャリっと音を立てて地面に落ちた。
「フゥーーーーー。。。ヤレヤレだ。。。」
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