第35話 4 years later. Oh my god, and my son, then others...


襲撃から4年、この間俺は地方勢力の懐柔政策に勤しんでいた。懐柔と言いながらも実際は将軍の地位を使ったパワハラだったり、有能人材の引き抜きだったり、関所を使って支配地域外との商売に思いっきり関税をかけたり、支配地域外の人間をこっちに移住させたり、要は勢力の弱体化だ。


一方で仮面衆達の修行にも力を注いだ。ルーランや三つ子の刺客達など、あっちの勢力の実力は侮れないものがあったし、実際、蝶と玉若は死にかけた。彼らの実力を上げないと今後しんどくなると思った俺は、連日の猛特訓に加え、修行後の按摩と称して俺の気をちょっとずつ流し与えた結果、ルーラン、三つ子程度となら戦えるレベルまで成長できた。


問題はというか悩みの種は我が子、玉若だ。。。


そんなレベルの仮面衆をポンポン投げ飛ばしたり、一撃で失神させる強力な打撃を放ったり。。。どういうことだか、俺が4歳の時よりも強い気がする。


「参りました、若様」

「正吉オジサン、踏み込みが半歩浅いから体が開いちゃってるよ。急所が見えちゃってる、危ないよ、その癖。あと若様は止めてよ。」


「いくら甥とは言え、御屋形様のご子息、こればかりは変わりませぬ。ご容赦下さい。」


も~~~、固っ苦しいな~、とぼやきながら水を飲む、見かけ上7歳くらいの4歳児。


「痛っつつつ、あんた、母親に忖度とか手加減とか、そーゆーのないの!!??そーゆー無神経なとこ父親に似てるわねー!!!」


「やらなくって良いって言ってもらってるのに、太るとか、退屈とか、動きたいって理由で毎回稽古に出てるのは母さんじゃないか。。。あと4歳の息子に手加減させないでよ。ホントにもう。」


世間一般の4歳児とはこうだという認識を教えるのに失敗したが、まぁ俺の時も似たようなもんだしな。既に組手の相手が俺しか務まらなくなっているレベルにある。これで誰が襲われても返り討ちにできるということで納得しよう。


さて、そろそろ準備はできたかな、と思っていた俺はサル、タヌキ、ハゲを呼び、諸々の報告を受ける。この3年間、サルは主に軍事と経済、タヌキは農業、漁業、鉱業等の生産、ハゲは外交、法整備を担当させていた。


この三人は本当に優秀で、俺自身、報告を聞いて気の付いたことをポツポツいうだけで後のことは全て仕上げてくれている。おかげで俺の支配権の軍事、経済は他地域に比べ盤石の体制にあった。


「・・・ふむ、特に問題なさそうだな。西域、東域共にもう少し平坦を積んでおいてくれ。大陸からの新しい作物の品種開発用の人工と予算をもっと取っておけ。


東西に鉄砲は2万丁ずつ配備。海上は防衛線をしっかり守るように、これからしばらく船の時代が続くから大型船の製造も順次続けていくように。


あと、朝廷の方は外来の土産物を毎月送っとけ。文句が出ないようにズブズブにしとけよ。俺たちがいないと何もできないようにしとくんだ。」


「「「承知しました。」」」


「ところでサルよ、ねねとの新婚生活はどうだ?」

ドキっとした顔をするサル、そのあとにモジモジと答えた。


「イや、なんというか、御屋形様。。。結婚生活とは終わる事の無い修行の様なものですな。。。


優しくてくれる時もあれば、甘えてくる時もあって、機嫌の悪い時は取り付く島もなく、ネチネチネチネチと。。。あそこの奥方がどの着物を着ているとか、向こうの家庭は旅行で教の都の寺巡りに行ったとか、南蛮の果物は美味しいらしいとか。。。夜もさせてくれたり露骨に断られたり。。。


いえ、全体的には満足しておりますとも、ハイ。」


何時もの様な歯切れの良い回答が無い。こいつの困る顔はなかなか見れないからな。思わずニヤニヤ見てしまう。


「そうか、折角あそこまで祝言を派手にやったんだ。仲良くしろよ。」


「仲は良いのですよ、御屋形様。ただ政治の話や軍事の話にもヤイヤイと口を出してきて、私もそれに対してカッとなって反応してしまうのです。我ら夫婦の形が落ち着くまでもう少しお時間下さいませ。」


「分かった分かった、後でねねにも、もう少し旦那に優しくしろ、と言っといてやる。」

「御屋形様、それをすると後ですべて私に跳ね返ってくるので、くれぐれもそっとしておいていただきたく。」

クククっと笑いながらサルを下がらせた。


「んでタヌキよ、そんな物欲しそうな顔をすんな。お前がねねを好いてたのは分かってたけど、あいつがサルを選んだんだから仕方ねーだろ?」


「ねね殿は我らの憧れでしたから。。。それにしてもサル殿はうらやましい。」

不承不承としながらタヌキが答える。


「まぁお前にも良い縁談を紹介してやるから、ちょっと待っとけよ。そうか自分で探して来いよ。」

「結婚相手ですからね、慎重に、気長に待ちますよ。。。」


「ハゲ、東方のあの地の様子はどうだ?何か不審な動きはあるか?お前も行ったこの前の視察結果を聞かせろ。」

「・・・六三四の国ですね。現地に赴き確かめましたが、特段珍しいものや動き、変わったことはありませんでした。。。今もしかと見張らせておりますが、特に不穏な動きはございません。かの地を支配している者も、その地に住む民衆も特に特徴のない田舎者ばかりでして。」


「・・・フム、分かった。二人とも下がってよいぞ。」



ルーランほか、三つ子の刺客の生き残りの情報により、どうやら六三四の国のある場所、ピンポイントで、例の憑依現象が起こっているらしい。シンドゥの調査によると


この世界の侵入口を、この国、その地に絞ること、

転生ではなく憑依という形にすること、


これによって、この世界の神であるシンドゥに見つからずにこの世界に顕現したらしい。また、ポイントには特別なデバイスが設置されているようで、これがある限り憑依現象は止まらないとのことだ。


どんな罠が仕掛けられているのかわからない為、あくまで見張りのみ、人を置いているが、俺と仮面衆の何人かで直接破壊しなければならないな。


ヤレヤレだ。。。

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