第34話 Father and Son
襲撃の次の日、父親と息子は広間にいた。胡坐でお茶をすすりながら息子を眺めるイオン、ゴロゴロとしながら気の鍛錬をしている玉若。
(オイ、孝行息子。。。全くお前は何と言っていいやら。。。)
(全くだよ、人生初めての命の危機が生後5か月って、おかしいよ。)
(・・・はぁ~・・・まぁ・・・、こうやって呑気に会話できることに感謝だよ。。。)
呆れた顔で団子をほおばるイオン、ゴロゴローっと畳の上を転がる玉若。
(それにしても、敵も狙いを定めてきたね。あのレベルの敵がもうあと一人か二人敵がいたら、間違いなく母さんと僕は殺されていたよ。)
(逆に言うと今あのレベルの敵は3人程度しかいっぺんに集められないということだ。警戒態勢を緩めることなく体制を考えないとな。
それと今は蝶への説明だな~。はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・)
(ため息が超長いね、父さん。どんだけ憂鬱なんだよ。まぁ僕がこんなんだって分かった時に言っとくべきだったね。)
うな垂れながら深い深いため息をしていると、ドスドスと音を立てて、ため息の原因が近づいてきた。仕方がない、ヤレヤレだ。。。
「・・・で、説明は分かったけど、理解が追いつかないわ。
要約すると、あなたは世界を平和にするためにこの世界に来た神の使い。意図的にこの世界を混乱させている奴らがいて、このままだとこの世界は消滅する。あなたの目的は混乱の原因を突き止めて、この世界の消滅を防ぐこと。
神の使いのあなたは生まれた時から超強くって、私の息子が変態的に強いのはその力を受け継いでるからなのね。」
むくれっ面の蝶は胡坐をかいて膝で人差し指をトントンしながら早口でまくし立てる。
(変態的って酷くない?)
「あんたは黙ってなさい!!!」
母親のあまりの迫力にビクっと顔と身体を引きつらせ、ゴロゴロと父親の後ろに転がり逃げる。あまりの剣幕に思わず正座して背筋がピンとなってしまう。
その後、蝶からコンコンと説教が続き、昼過ぎから晩遅くまで続いた。途中ヒートアップしすぎてクナイが何回か頬をかすめ、玉若も何回か自分でクナイを払いのけるような状況もあった。
「あーーーー、ホントにもう!!!とりあえず分かったけど、他に隠し事ないでしょーね!!!???なんか見つかったらタダじゃおかないんだからね!!!今日は一人で寝る!!!ちょっと、誰かお酒持ってきて!!!」
障子がパシーンと乾いた音を立てて閉まり、ドスドスドスっと足音が遠のいていく。
(行った?)
(行ったな。。。)
倒れこむ二人、部屋はまるで獣が走り回ったように荒れ散らかっている。
(疲れたな。。。)
(疲れたね。。。)
(怒ってたな。。。)
(激怒だよ。)
(俺一応神なんだけど。神って言ったよな?神の俺にあそこまでまくし立てるのって、やっぱスゲーよ。)
(本当だね。お母さん、凄い。怖い物無しだ。)
(とりあえず寝るか。。。)
(僕お腹空いたよ。。。)
(あー、そうだな。そういえば怒られっぱなしで何も食ってなかったな。飯にしよう。)
おーい飯~、と大声で人を呼ぼうとしたが、蝶に聞かれるとマズイと思い、コソコソと乳母さんに声をかけ、飯炊き場に向かうのであった。
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