第32話 You can/should do it, as usual. ..

(ハァ、父さんと母さん、また始めたよ。。。仲が良くって「二人目二人目」は良いんだけど、せめて部屋を分けてくんないかな?)


人類とは思えない成長をしている玉若はイオンとの意識共有により、彼の膨大な知識と経験を受け継ぎつつあった。その気になればもう自分で立って歩いたり、喋ったりできるのだが、あまりに目立つのでイオンには止められている。敵に見つかって何をされるかも分からないからでもあった。


(おっ、やっと終わったか。。。母さんはもうすぐ寝てしまうな。父さんはもうすぐこっちに来るはず。ちょっと文句を言っておかないと。って、はぁ~~、なんて格好だよ。。。)


運動したばかりで湯気立っているイオンがニコニコ顔の真っ裸で息子に頬ずりしてくる。

(父さん、ちょっとは息子に気を使って下さいよ。せめて部屋分けるとかしてくれないと。。。)


(スマンスマン、我慢できなくってな。っていうか、0歳児がこんな時間に起きてるなよ。)


(お腹が空いて起きちゃうんですよ。全く、幼児だから分からないと思って毎日毎日、何回も何回も。。。アレを毎日聞かせられるこっちの身にもなってよ。)


(スマンスマン。お前の安全上、暫く部屋は分けられん。お前のこったからもう立ったり喋ったりできるんだろうが、敵とまともに戦えるようになるまで後5年はかかる。まぁ、あと2年くらいはおとなしくしとけよ。)


(マジっすか?はぁ。。。それじゃあ少しくらい気を遣って静かにコッソリしてよ。)


(分かった分かった。スマンスマン。次から気を付けるよ。腹空いてるとこ悪いが、乳母を呼ぶ前にまぁ、話をしようぜ。)


完全に聞き流しやがったなコイツ、と思いながら念話での会話が続いていく。


(この世界じゃ今んとこ俺の素性を知ってるのはお前だけだからよ、この世界の秩序安定の為にはお前にしっかりしてもらわねーと困るのよ。


この世界の管理者の一員として言ってるところもあるが、基本的にゃ父親としてお前の事が心配だからな。俺がいなくなった後はお前がこの国、ひいてはこの世界の土台を作るんだからな、頼んだぜ。)


(もう、勝手にポンポンポンポン重い事押し付けないで下さいよ。神の代わりなんて人間の僕には荷が重すぎますし、もう少し気楽に過ごしたいんだけど。)


(気楽で良いのさ。


お前が気楽に過ごすためにはちょっとばかりやる事があるっつーだけでさ。愛だの正義だの、そんなものをお前の生き方に押し付ける気はさらさらねーけど、お前にゃお前の愛だの正義だのを自分で考えて、行動に移す義務があんのさ。


・・・悪い、これは押し付けだな。スマン。)


(父さん、そんなのもう諦めてるよ、っていうか何とも思ってないさ。はぁ、まぁ父さんが死んだ後はせいぜい僕が気楽に過ごすために勝手に色々やっちゃうね。後から文句言わないでよ。)


(分かった分かった、まだ暫らく死ねないから、安心しとけ。


っていうか飯だな。さっきからグーグー聞こえてるぞ。呼んでやっからちょっと待っとけ。)


(お願い、お腹空き過ぎて思わず母さんのところに歩いて行きそうになったよ。その前に着物着なよ。)


「オーイ、玉若が腹減ってるぞー。誰か頼む。ついでに俺も飯持って来てくれー。」

親子仲良く深夜食を食べ、親子の一日が今日も幕を閉じていく。


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