第26話 Unforgiven

神としてのこれまで見てきたこと、地球でのこれまでの人生、振り返ってみてろくなもんじゃなかったことが多かったけど、これは最悪だ!!!


子供達が本来享受できた幸せや悲しみ、喜び、怒り。。。。それを見守ることのできたその親達の幸せや、悲しみ、喜び、怒り。。。


神達の権謀術数によりそれらはあっという間に、どうしようもなかった、で済まされていく。



・・・済まされていいはずがない!!!!!!!!!


「子供の人生をゲームの駒みたいに簡単にっ!!!!!それが神のすることかあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


多少身体を損傷しても構わん、自爆を押さえるには奴を仕留めるしかない。俺は神気で更に肉体を活性化させ、速度を倍化させる!!


メキメキと身体が悲鳴を上げ、目、鼻、耳から出血する。


足元の床板が破裂した次の瞬間、イオンの身体が天井、壁と跳ね、高速で移動する。目で追うことができず周囲を見渡す研如。


研如が少年兵に指示を飛ばし、少年兵が研如の周囲を囲い守ろうとする。


その瞬間、背後からイオンの手刀で硏如の右腕が千切れ飛び、その次に放たれた右蹴りは研如の左膝から下を吹き飛ばした。


あまりの一瞬の事で、硏如はまだ薄ら笑いを浮かべている。しかし徐々に何が起こったのかを知覚し始める。床に落ちた自分の腕と足を交互に見ながら、叫ぶ。


「あれ?これは僕の?えっ?イっ、痛い、痛い痛い痛い痛い痛いぃーーーーーーーー!!!!!!!」


尊大な神の使いを気取っていたが、ヤレヤレ、人間らしい反応をするじゃないか。


叫び喚く硏如の残った左腕と右足に棒手裏剣を突き刺し、腱を切断する。身動きを完全に封じ、チョークスリーパーで意識を落とした。


その瞬間、少年兵の動きが止まる。。。操り人形の糸が切れたかの様に、AIの制御を失ったロボットの様に。


全てが終わり、本堂を静寂が包む中、イオンはしばらく呆然とする。。。


本尊の仏像が半壊し、顔の半分が血で染め上げられている。


床は半壊し、煙が上がっている。


爆散した小さな人体の一部が散乱し、血溜まりができている。


イオンは静思する。もっと良い方法は無かったのか?これはベストだったか?判断は正しかったか?


・・・止めよう、反省は後からでもできる。念話で仮面衆を呼び戻す。


「終わったぞ。そっちはどうだ?」

正吉らは、見つからない様に隠れており、少年兵が次々と本堂に入って行って心配したそうだが、かえって戦闘の邪魔になると思い待機していたらしい。ちゃんと状況も俺の事を理解してくれている。。。


正吉たちが本堂にくると、目を見開き、こっちに駆け出してきた。

「御屋形様、無茶しましたね。。。手当をしますので、そこで横になって下さい。」

正吉によると目と鼻からの流血と返り血で俺の顔面は真っ赤に染め上げられ、黒装束の下の左足の脛は開放骨折していたらしい。


気の出力に身体が追い付いていない。まぁ相手もかなり手強かったし、仕方ない。


俺は座って左足脛の骨折した部分を正しい位置に戻し、気を流し込んで治癒していく。その間正吉たちはボロボロに破れた黒装束を切り裂き、体を拭いてくれたり、顔の血を落としたりしてくれている。


ようやく一息ついたイオンは仮面衆に指示を出す。


「俺はコイツに尋問することがある。お前達は少年兵に動きが無いか見張っておいてくれ。


あ、そうだ!そこらでサカっている僧兵達を5人、意識を混濁させた状態でこっちに連れてきておいてくれ。。。」


「承知しました。」

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