第23話 そういうとこだよ。。。
三濃奪取から3か月、最近ちよ改め蝶のストレスがすさまじい。息をするように愚痴が出る。
「慶長様、着物がきついです。
いつ何時も丁寧語で話さなければならないのはしんどいです。
ご飯が少ししか出ません。
勉強しても興味が無いものは頭に入りません。
着替えて外を全力で走りたいです。
・・・というか、この拷問は何時まで続くのですか?」
「仕方ないだろう。しばらくおとなしく勉強しろ。夜は黒装束に着替えて盗賊狩りでも手裏剣投げでもして気を紛らわせてくれよ。お前の場合、根が雑なんだから直すのに時間がかかる。飯は食いすぎるなよ。逞しい腕と足が更に逞しくなるぞ。」
シュシュシュシュシュと俺目がけてクナイが飛んでくる、がそれを全てつかみ取る。
「そういうとこだよ。。。」
やれやれと部屋を出て、正吉、源三、サルを呼びつける。さてと、次は小海と北教都にある宗教団体だな。。。
ドカッと座布団に座り、正吉に状況報告を促す。
「小海の浅居には柴多、丹和軍併せて3万の兵を向かわせています。源三の攪乱が奏功しており、戦況はこちら優位で進んでおります。あと3週間もあれば落ちると思われます。」
「そうか、引き続き報告を頼む。」と命じ、次の報告を促す。ハッと返事をした後、サルが報告する。
「申し訳ございません、つい数刻前、浄世日宗の総本山に向かわせた雷太が重傷を負って帰任しました。瀕死の状態です。」
「ドアホぅ!!!早く報告しろ、クソ!!!傷が悪化したらどうすんだ、バカ!!!何処だ?雷太の所に案内しろ、このボケザル!!!」
あらん限りの悪口で、扇子でサルの頭を叩きながら雷太の元に駆け出そうとする主を見て、相変わらずお優しい方だ、と思う秀吉郎であった。。。
それにしても、雷太の体術はもう既に正吉に並ぶほどの実力。200や300の正規兵とだってまともに戦える戦力である。どれほどの手練れにやられたのだろうか?
「御屋形様、面目ございません。。。やられちゃいました。。。」
雷太が起き上がり謝罪をしようとするが、それを制し、治療にあたる。手、足、背中には銃創や槍傷、爆薬による火傷痕だろうか、皮膚がただれて膿んでいる。
「良く帰ってこれたな、ご苦労。それにしてもこりゃ酷くやられたな。。。でも命が繋がって良かった。ちょっと待てよ。。。」
傷口を水で洗い流しながら、手をかざし、気の流れを活性化、細胞の再生を加速させる。破れた血管が治り、組織が再生される。かさぶたができ、剥がれ、元の肌が再生されていく。
「フゥ、これで良いだろ。体の養分を大分使ったからな、これ飲んどけ。塩水に砂糖と、野菜をかなり細かく擂り潰した汁を混ぜ合わせた、俺特製の体力回復嫌がらせ汁だ。」
雷太がよろよろと起き上がり、マズっと言いながらジュースを飲んでいく。3リットルはあろうかというジュースを全て飲み干した後、雷太が報告する。
「ありがとうございました。御屋形様、何とか命拾いしました。死の淵を彷徨ったのは御屋形様にやられた以来だよ。」
「そうか、お前ほどの奴をここまで追い込むとは、敵はどんな奴らだった?」
暗い表情でうつむいていた雷太が、意を決したように俺の目を見て話し始める。
「・・・御屋形様、今回の敵、浄世日宗の硏如は、御屋形様と同じような仙人だと思います。」
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