第21話 そのころのちよ
それにしても何考えてるのかしら、御屋形様は。生まれも育ちもはっきりしてない忍の私を嫁だなんて、頭おかしーんじゃないの?お兄ちゃんなんて未だに私の顔を見て涙を流して喜んでるし。
でも何時からかしら、「アイツ」から「御屋形様」になったのは。
第一印象は「得体の知れないガキ」で、その数時間後には「○○○○(活字自粛)な変質者で、××××(活字自粛)な妄想狂」だったわね。
いつの間にか家族みたいなあったかい場所が作られてて、
知らない内に皆その場所が居心地良いと思い始めて、
毎日訓練と任務で忙しかったけど充実してて、
一番最初にアイツに心を奪われたのはお兄ちゃんね、それから雷太とねね、源三、私。。。
そりゃ少しくらい不平や不満はあるわよ。御屋形様はなんでも一人で決めちゃうし。ちょっとくらい頼ってくれてもいいじゃない。よくよく考えるとその判断はいつも正しと思うし、結果が証明してくれるんだけどね。
全然話変わるけど、不思議とご飯が美味しいの。任務後に、夜遅く屋敷に帰っても、大抵ご飯の準備がしてあって、それが美味しくって。御屋形様に会うまでは食事ってただのエサだったわ。
そういえばこの前、戦災孤児集めて雪合戦したあとの芋煮、美味しかったな。子供達に向ける御屋形様の笑顔はとても優しくて、その光景は見てると胸がギュっと苦しくなったよ。
あの人はありのままの私を好きと言ってくれた。過去をひっくるめて全てを受け入れてくれた。
いつの間にか私はこの人を愛してしまった。
ずっとこの人の傍に居たい。この人の行く先を見ていたい。
はぁ、厄介な人好きになっちゃったな~。
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