第13話 いつの間にやら、そして部下
吉豊師:13歳
このころ、俺は実質的にこの国のリーダーになっていた。
そりゃそうだ、前世の知識を活かし、政治、経済、軍事等、あらゆる領域において指示が的確かつ明確だからだ。生物学上の父親や兄弟、親類達らはとうに主導権を握ることを明け渡し/諦め、書や絵画、陶器収集など、趣味活動に興じている。俺と競う事がどれほど虚しい事なのかは5、6年前から既に分かっている。
そうなってからしばらく、変な奴に付きまとわれるようになった。
出会いは町のうどん屋。身分を隠して一人町をブラブラ、小腹がすいたので店に入ると、町人風の小柄なサル顔の少年が話しかけてきた。最初は流行りの服や、飯屋のたわいもない話であったが、いつの間にか政治、経済、近隣諸国の話に移っており、その時俺が敷いていた政策方針について分析し、そのことごとくを言い当てて見せた。
「ここ最近、この国の経済が急激に活性化しているっすね。俺っち思うんすけど、政策指揮する人が相当優秀っす。」
「ほう、特にどんなところが気になる?」
「特定商業地における税の緩和、港・街道整備、あと新しい作物を農家が積極的に取り組んでてそれが高値で売れてるのも見逃せないっす。」
税制、物流、農業は俺が特に力を入れている分野だ。技術・工業がまだ発達していないこの時代では、食料を押さえることが肝だ。作物を押さえ、物流を管理し、収入を増やし、国土を整備する。このループを繰り返すだけである程度国は潤う。幸い当時、周辺国はそれ程好戦意欲も高くなかった。チビ猿のくせに世間を良く見てやがる。
「・・・お前、今なにして生活している?」
「今はしがない町の便利屋っす。物売り、掃除、物運び、あと情報屋なんかですかね。ちなみに一人暮らしっす。
・・・で、どうですか、私は合格ですか?」
・・・どうやら俺の事をある程度分かった上で声をかけてきたらしい。賢しいな。こういうヤツは嫌いじゃない。。。。
「名は?」
「村で捨ててきました。今は適当に名前を変えながら生活してます。」
「分かった。以降お前は日吉と名乗れ。」
それから、コイツは俺の側近として仕えてきた。
・・・それから数年。。。
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