第9話 修行、そしてアレ
吉豊師:11歳
晩秋に近づき、寒さが堪えるころ。。。俺は仮面衆(翁・般若・獅子、童子・鬼)に修行をつけていた。
翁「!!!」、般若「?、!!」、獅子「っつ、これでは。。。」、童子「あいた。クソ・・・」、鬼「・・・」。
「遅い、弱い、ぬるい、殺されたいのかーーー!!!」
怒鳴り声と共に、俺の手足が仮面衆に向けて猛威をふるい続ける。
「まだまだ!」
と正吉は言うが、皆どんどん攻撃に精彩が欠けていく。模擬戦闘開始からもう5時間、体力の限界もそろそろか。。。
「はぁー、もうダメ、御屋形様、降参。。。動けません!!」
ねね、雷太、ちよ、源三とへたり込む中、最後の正吉の膝が崩れ落ちた。
「気の制御は上手くなってきたけど、感覚が追い付いていないな。持久力も物足らん。せめて10時間は連続戦闘ができるようにならんと手練れに出会ってしまったら死んでしまうぞ。」
「勘弁して下さいよ。。。御屋形様、師匠より厳しい。ていうか、何でその歳でそんな(強さ)になってるのか、そろそろ教えて下さいよ。」
それはおいおいな、と言いつつ、5人それぞれに手を当て、身体活性化の為の気を流し込んでいく。これにより、傷ついた筋肉を超回復させ、骨、神経、細胞そのものを強化していく。
この5人は元々気のコントロールはある程度できていた。師匠が良かったのか、気の展開、循環、維持、活性化までの基礎を毎日義務付けられており、それぞれ常人の倍程度の強度と速度を持ち得ていた。ただ、達人クラスに出会ってしまった時にはやられてしまうレベルなので、週に2、3回はみっちりシゴキ、その他は他国の諜報活動や、自主訓練をさせている。
あと、勉強。コイツ等ほんとに忍の技術しか習ってないみたいで、社会の常識が著しく欠けている。
「お前らがここにきてもう半年くらいか。早えーもんだな~。」
「そうですね、最初はどこまで本当の話なのか分かりませんでしたが、布団で寝ることができて、ご飯が三食食べられる。夢の様な毎日で、正直まだ現実感がありません。
こうやって修行をつけてもらって体力が削り取られた時だけは現実に戻ってる気がします。」
正吉は5人のリーダーらしく、率先してまとめ役を引き受けてくれる。毎日の勉強もしっかりし、常識や丁寧語なども身に着けてきている。
「そうねー、追手に追われて眠れなかったり、洞窟で雨を凌いだり、畑ドロボーで飢えを凌いだりしなくなっただけでも感謝よねー。」
ちよもこの半年で大分従順になったが、未だに多少反抗的なところがある。よほどあの時の事が恥ずかしかったのか。
「まぁ、落ち着いて本が読めたり、忍の技以外の事が勉強できたりするのはありがたいですね。」
源三は5人の中では一番の勉強家だ。本を読んでいる以外、何してるんだというくらい、いつも本を読んでいる。ただ読書量と理屈っぽさが比例しているようだ。
「俺たちはアンちゃんたちがいてくれればそれでいい、な、ねね?」
「そうだねー。皆と美味しいご飯が食べられればそれで良い。」
雷太とねねには正直、普通の子供に戻ってもらいたかったのだが。。。本人達の意向で、年長組三人と同じように諜報員希望との事だ。子供にはこれからあんまり見せたくないものや聞かせたくない事も増えるんだが、、、ヤレヤレ。。。
「さて、今日は新月、賊が増える日だな。そうだ、今日アレやろう。」
「・・・マジでやるんですか?アレ。。。勘弁していただけないですか?」
「なんで?いいじゃん、正吉兄ちゃん。正義の味方、カッコ良いよ」
「はぁ、、命令なら仕方ありませんね。。。」
「・・・はぁ、本当にやるの?」
「はーい、お姉ちゃん。私アレ大好きー。」
そして日が落ちて、、、夜。。。天守閣にて。。。
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