第13話 魔・ギア。

 垂直移動用のエレベーター? みたいのに乗って最上階まであがる。


 この装置の名前、マリアンヌの記憶に無いよね?


(エレベーターっていうのがなんなのかよくわかりませんけれど、これの名前っていうのはわたくしも存じませんね。ただそこにあって、移動できて)


 ふつう名前で呼ばない?


(まああえて名前で呼ぼうとすれば、これは魔・ギアの一種、としか)


 マギア?


(魔法マギアとはちょこっとだけ違うんですけどね? 魔力、マナを動力として動く機械ギアと言った所でしょうか?)


 ああ。魔道具って事ね?


(今現在の技術で人が創る魔道具は、魔・ギアとは呼ばないんですよ。全ての魔・ギアは太古の技術で生み出されたもの)


 へー。オーパーツみたいなものなのかな? オーバーテクノロジー、って、わかる?


(茉莉花ちゃんのイメージが共有できます。はい。わかりました、ああ、そういう意味であってるとおもいますわ)




 あたしたちは一つのレイスを共有している。


 なんていうかな、インナースペースって言ったらわかりやすいかな?


 心の中にある空間、あたし。その中にマリアンヌの意識もある。


 だから今はその心の中にあたしとマリアンヌが同居しているみたいな感じ。


 身体の表面に現れて喋ったり感じたりしているのはあたしがメイン。


 マリアンヌも同じ感覚を共有してはいるんだけど、身体のコントロールはやっぱりあたし、だ。


 一度ベッドに横になってる状態からマリアンヌにおきてもらおうと思ったけど、どうにも無理だった。


 レイスのゲートから手を伸ばすことは出来たから、多少周りのものを動かすことはできるんだけどね?


 なんとかおいおい身体のコントロールを二人で交代で出来る様になるといいね、って、そんなふうに話してる。


 やっぱりさ、あたしひけめ感じちゃうし、ね。


 自分ばっかり表に出てるとさ。





 最上階に到着して。


 ケイン・フェリス白騎士団長さまはレディファーストよろしく扉を押さえ、あたしを先に出るよう促した。


 うん。とってもスマートに。


 あはは。やっぱりかっこいいよねえ。


 そうおもいながら大聖女様のお部屋の呼び鈴を鳴らした。


「はい。お待ちしておりました」


 と、侍女のセーラさんが扉を優雅に開け、あたしたちを中に通してくれた。

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