14 断罪からの反撃



 数日後。


 捕まった私は処刑台の餌食として、人々の見世物にされるらしい。


 町の広場に連れて来れられて、断罪の刃の下に押さえつけられてた。


 わざわざ集められた人々達の中には、両親や友達や、知り合いもいた。


 彼らは口々に私を邪神の巫女だと罵ってきた。


 ユフィと私の立場がそっくり入れ替わっているのだろう。


「邪神の巫女になって、貴族の家をのっとろうとするなんて」

「なんて外道なのだ」

「早く殺してしまえ!」


 罵声を浴びせながら、石を投げてくる者もいる。


 予想通りだ。


 彼女なら、そうすると思っていた。


 数年前のあの逃走劇でことごとく先手を打ってきたユフィは、必要な事ならなんでもやるはず。


 私の抵抗の気をそぐために、何でも。


 でも私はそんな事では屈しない。


 だから、ここから反撃しよう。


「あははっ、お姉様の姿が目撃されなくなってから、気が気じゃなかったわ。今まですんなりうなくいってきたのに、どうして貴方だけこんなに私の手をわずらわせるの? いらいらしっぱなしよ」


 ユフィは「いい気味ね」と真っ赤な血を額から流す私を見て言った。


 誰かが投げた石があたって、怪我をしてしまったのだ。


 彼女は取り押さえられている私の髪を引っ張った。


「ねぇ、貴方のご両親達の事お話してあげましょうか。顔をゆがめて哀れな顔で逃げ惑い、支配されていく人々の様子といったら、おかしくておかしくて」

「貴方は本物の下衆なのね」

「褒めてくれてありがとう。それは私にとって、最高の賛辞よ」


 今までに何度も思った。

 おかしくなっているのは私で、ユフィの方がまともなのではないかと。


 でも、今彼女の言葉を聞いて、確信を持った。


「あなたはやっぱり家族ではないと分かったわ」

「そんな事、今さらでしょう。お姉様」


 だから、この断罪の場をひっくり返そう。


 私は、その場に集まった家族や、師匠、友人に目を合わせた。


 彼らは邪神の「洗脳」の力によって、偽りの考えを押し付け、本来の意思をどこかへおいやって、眠らせてしまっている。


 でも私の「目覚め」の力があれば、彼等が以前考えていた事や想いを「目覚め」させる事ができる。


 本来は、休眠している種や動物を目覚めさせたり、人を起こしたりするだけの力だけれど、ユニオン師匠の元で鍛えたので、邪神の力に対抗できるまでになったのだ。


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