13 帰還



 隣国に向かって、数年後。


 力を付けた私は、シンフォと共に生まれ育った故郷に帰る事にした。


 シンフォも私も、新しい生活を見つけていて、望めばその先もずっと安全な場所で生活できただろう。


 けれど、奪われたものを取り戻すためには、危険な場所へ戻らなければならなかった。


 私の屋敷は、すっかり変わってしまっていた。


 改築を重ねて、色々な建物が増えてたし、華美な装飾品が付いてる。


 護衛みたいな兵士が屋敷の前をうろついていて、目を光らせていた。


 使用人は、知っている人達もいたし、知らない人達もいた。


 私はシンフォと別れて、そんな屋敷に正面から乗り込んだ。


 さっそく、ユフィが出迎える。


 彼女は「どこに逃げたのかと思ったけど、どうして戻ってきたのお姉様?」と首をかしげる。


「ユフィは私の事を「お姉ちゃん」と呼ぶって言わなかったかしら」

「あれからずいぶん成長したのよ。この年でお姉ちゃんはないんじゃないかしら」

「そうかしら。あの子甘ったれだったから」


 交わすやり取りは何気ないものだ。

 けれど、ユフィは自分の力が効かない私の事を警戒している。


 あたりにいた兵士達に「捕えなさい」と命令してきた。


 私は、抵抗する事なくあっさり捕まった。


「不気味ね。どうしたの? お姉様、あんなに逃げ回っていたじゃない。こんなに無抵抗なんて。さっさと殺してしまいたいわ」

「逃げていたんじゃないわよ。貴方には分からないでしょうけれど。邪神の巫女には」

「そう、私の事調べられる環境にいたのね」


 私はそのまま牢屋につれていかれた。


 私とは別行動をとっているシンフォは、今頃隣国の兵士達を招き入れている頃合いだろう。


 この国の王は当てにできない。


 この数年間、隣国の要人がそれとなく接触をはかっていたようだが、どうにもユフィに操られているようだったのだ。


 一体どうやって接したのかは分からないが。


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