第13話 愛と嫉妬は表裏一体
ヴァネッサに狙われたフィオナを庇うようにして立ちはだかるサンドラ、ヴァネッサは面白がってサンドラに問いかける。
「これは貴方の望んだ結果ではなくて?」
「こうなったのは…私のせいだけど、こんな結果を望んでたわけじゃないし、魔物になるだなんて知らなかったんだもの」
「サンドラ姉様…」
「…今更謝って許される立場なんかじゃないけど、しっかりケジメはつけるわ」
「昔から自分の感情に正直な貴方らしいわね。でも貴方如きじゃ壁にすらならないわよ」
「…それでも私はここから引くわけにはいかないもの」
自分が吹き飛ぼうがバラバラになろうが、この事件を劇団に引き込んで壊滅的な被害をもたらしたのはサンドラだ。
彼女はその現実に報いるためにも、今まで批難してきた妹にほんの少しの罪滅ぼしをするためにも、震える足を言い聞かせながらヴァネッサに立ちはだかる。
「ごめんねフィオナ、私貴方にずっとみっともない嫉妬をしていたわ。こんな姉でごめんなさいね」
「サンドラ姉様…そんなことありません、今から一緒に仲良しになりましょう」
「最後に仲良くなるなんて、親の前で泣かせてくれるわね。話は終わりでいいかしら?」
フィオナがサンドラに向かって微笑む。
こんな立派な決意を見せられて何もしないなんて恥ずかしいし、この2人のこれからを壊させるわけにはいかないな。
ーーゴゴゴゴゴゴッ
「な、何かしら?」
船が揺れ、甲板のいたるところが軋む音がする。
フォルカと『
『やったー! あたしが1番だ!』
ヴァネッサの言葉にかけられて動けないでいたはずの『
「な、何故?」
『あたしたちが本気出せば、その程度痛くも痒くもないもん』
『
『本当にいいの?』
「あぁ…新しく出来たこの家族愛を壊させる訳にはいかないだろ?」
『サービスだった『
「元々世界を変えるつもりだったから今更だろ」
『本当…最高だよフォルカ!』
「さて、行くか…『
『はい…我が主よ』
ーーブワァッ!
その瞬間、天に届くような勢いでフォルカと『
◇
魔力の渦に吹き飛ばされそうだったフィオナたちは突如張られた流れる水で出来ているような結界に守られた。
そして何故かヴァネッサにも同じ結界が張られていた。
青黒い渦が納まるとそこには、特に変わりがないように見えるフォルカと、大きさは変わらないが、肩まで伸びる青が混じった黒髪だったのが1本の青いメッシュが追加され、耳には渦巻いた蛇のようなのがついているイヤリング、青いドレスは変わらず右手には1本の少しギザギザして先端が蛇の顔のような剣をもった『
フォルカは微笑む『
「
『はーい!』
ーームギュ~~
大きな返事と一緒にフォルカに抱き着く『
「止まりなさい!」
見かねてヴァネッサが2人に向けて言葉を放つ。
『聞こえませ~~ん』
ヴァネッサの言葉通りのことは起きず、『
さすがに状況が把握できず、自身も結界のようなものに守られているジンが声をかけてくる。
「そろそろ説明してもらえんのか?」
「あぁ…すまん『
『今そこのカエル以外が入っているのは『
「説明が適当だな」
あまりにも簡単な説明をしているのでジンたちも呆気に取られているが仕方ない、ヴァネッサも聞いてるからな。
『
「すごいキレイですね」
「魔力を集中させれない」
フィオナとリーシャがそれぞれの反応をしている、ヴァネッサも困ったようで何をすればいいのか考えているようだ。
「くっ……あの2人を喰らいなさい!」
『あたしのフォルカを狙うの?』
ーーグシャッ!
ヴァネッサに指示されたカエルがピクリとも動くその前に。
『
誰も反応できないほど速さで食い千切られたカエルも自分が真っ二つになったこと気付いていないかのように足だけ動いている。
『ダメだよ…あたしだけのフォルカだもん』
大蛇のようにグネグネ動いている剣が先端にある口を大きく開けてヴァネッサのほうを向いている。
ーーザァァ
ヴァネッサに貼られていた『
ゆっくりと蛇剣が上からヴァネッサに近づいていき。
ーームギュッ!
『ひゃっ!!』
「やりすぎだ」
抱き着いていた『
死の恐怖から解放されて安心したのか、ヴァネッサはその場に尻もちをつくように座り込む。
『ご、ごめんねフォルカ! ちょっと熱くなっちゃって…ね?』
「怒ってないって、本当に助かったよ。ありがとう」
『うん! 後は大丈夫?』
「あぁ…またゆっくり話そう『
『うん! すぐ呼ばないと怒るからよ!』
『
それにしても自分でも驚くくらいに魔力の保有量が上がってる。人としてなんか進化したような気分だ。
とりあえずへたりこんでるヴァネッサさんを元に戻さないと。
「一体何をしたらいきなり化け物になるのかしら?」
「それ俺に言うのかよ」
「…負けよ、素直に元に戻るわよ」
「自分で戻れるのか?」
「えぇ…そんな強大で目立つ呪い、この先大変よ?」
「そんなの承知の上さ」
「でも…久々に全開で動けて楽しかったわ」
そう言ってヴァネッサは気絶したようで地面に倒れた。
なんとか『
甲板は悲惨な状況、復旧作業にかなり時間がかかりそうだけど、俺たちは行かなくちゃならないからな。
俺は疲れて倒れているジンとリーシャ、互いに泣きながら謝り合っているフィオナさんとサンドラさんにヴァネッサさんを運んでもらうのを手伝ってもらうことにした。
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