第2話

 絵本の挿絵は、けっこう詳しく覚えていました。二人の王子の服装は、中世の騎士風というか、長い半そでTシャツに脇スリット、なんて言い方でいいのかな、そんな感じにブーツ姿。

 そこで、本屋に行くたびに、それらしい絵本をあさってみたり、似たような物語がないか、調べてみたり。でも全くヒットせず。


 ある時、個人で出していた同人誌にエッセイを書く機会があったので、この話について書いてみました。

「金のりんごを知っていますか」というタイトルで、でも読者は数十人ですし、反応は期待してませんでした。


 ところが、しばらくたったある日。大きめの封書が届きまして、中身は、「きんのりんご」のカラーコピーが! その時の私の驚きと喜びがどれほどだったか、今も思い出すとドキドキします。


 読者のお一人が、この絵本をお持ちだったのでした。

 隣家から頂いたそうで、私が絵本のストーリーを、とても詳しく覚えていて驚いた、とお手紙にありました。確かに私の説明と、再会した絵本の話は、ほぼ同じでした。


 笑ったのは、表紙のイーダ王子が、とても幼なかったこと。せいぜい13才くらいにしか見えません。私が夢中で読んだのは6歳ころですから、その年齢の子からは、13才でも立派なお兄さん、ですよね。


 挿絵は、「月の沙漠」の作詞で有名な加藤まさを先生。文は,水上不二先生でした。

 この話は、ケルトの伝説から脚色されたものでした。原作のタイトルは「コン・エーダの物語 またはエルンルフツの金の林檎」でした。

 私は大喜びで、原作を探しに行きました。

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