第41話 白衣の天使と欲しかったスキル

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 ♪ てんてんてん ♪ クリティカルヒット!!

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 能天気な効果音と共に、納音なっちんGゲール・かおりは絶命した。

 東洋メイドのコトリ・チョウツガイはニコニコと叫んだ。


「イツキさん、お願いします!」


 コトリ・チョウツガイが叫ぶと同時に、おもむろにドアが現れた。

 ドアは、ハッキリとした赤と黄色のツートンカラーのドアだった。そして額縁が備え付けられてあった。額縁の中に数字の〝23〟が書かれてあった。


 ドアノブがにひねられた。扉が開くと黒スーツで短髪をテカテカになでつけた男が、現れた。


 男の名前は、イツキ・ケブカワ。陰陽おんみょう情報処理エンジニア。要するにプログラマーだ。


 イツキ・ケブカワは、ツカツカと首のない納音なっちんGゲール・かおりの足元に立つと、流れるように推命アビリティを使用した。


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 推命アビリティ52。〝乙卯きのとう〟完全蘇生。

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 納音なっちんGゲール・かおりは、新しい首がニョキニョキと生えて、完全蘇生した。

 イツキ・ケブカワは、続け様に推命アビリティ使用した。


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 推命アビリティ60。〝癸亥みずのとい〟発動。

 人物観察プロファイリング:鑑定方法、相術そうじゅつ

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 イツキ・ケブカワの瞳、具体的には角膜に直接、納音なっちんGゲール・かおりの情報が映し出された。


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名前:納音なっちんGゲール・かおり

人種:英国人

職業:看護師・統計学者

スキル:魁罡マイウェイ七殺七冲ふんだりけったり


習得言語:英語・フランス語・ギリシャ語・イタリア語・ラテン語

履修学問:ギリシア哲学・数学・天文学・経済学・歴史・美術・絵画・地理・心理学・文学(小説)


習得推命アビリティ:1〝甲子きのえね〟30〝癸巳みずのとみ〟46〝己酉つちのととり


状態異常:人獣共通感染症(骨髄炎) 木行ポイント+1


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「よし。成功だ。念のため、分離した首も観てみよう」


 イツキ・ケブカワは、推命アビリティ60。〝癸亥みずのとい〟を解除した。文字情報の羅列に覆われた視界が晴れた。


 イツキ・ケブカワは、ツカツカと歩いて行き、今度は、てんてんてんと転がっていた、納音なっちんGゲール・かおりの首に流れるように推命アビリティを使用した。


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 推命アビリティ60。〝癸亥みずのとい〟発動。

 人物観察プロファイリング:鑑定方法、相術そうじゅつ

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名前:納音なっちんGゲール・かおり

人種:英国人

職業:看護師・統計学者

スキル:魁罡マイウェイ四墓土局タイムズスクエア


習得言語:なし

履修学問:音楽・文学(詩)


習得推命アビリティ:1〝甲子きのえね〟30〝癸巳みずのとみ〟46〝己酉つちのととり


状態異常:人獣共通感染症(脳炎、髄膜炎) 木行ポイント+1


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「感染症による脳炎、髄膜炎を認める。よし」


 イツキ・ケブカワは、推命アビリティ60。〝癸亥みずのとい〟を解除した。文字情報の羅列に覆われた視界が晴れた。


 東洋メイドのコトリ・チョウツガイはニコニコしながら言った。


「これで、かおり先生も長生きできますね」


 イツキ・ケブカワはうなずいた。


「ああ。今まで通りベットでの生活は余儀なくされるけど、致命傷に到る脳炎、髄膜炎を根絶したからね。感染症によるこれ以上の後遺症は出ないはずだよ」


 イツキ・ケブカワはつづけた。


「でもって、コトリちゃん、〝どうのつるぎ〟と〝かわのたて〟に、スキルをもって帰ろう。念願の魁罡マイウェイだ」


 「はーい」


 コトリ・チョウツガイは、ニコニコしながら、〝どうのつるぎ〟を、首がニョキニョキと生えた、納音なっちんGゲール・かおりにかかげた。


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 スキル、盗作疑惑めっちゃリスペクト

 納音なっちんGゲール・かおりのスキル〝魁罡マイウェイ〟を〝どうのつるぎ〟に無断コピー。

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 コトリ・チョウツガイは、ニコニコしながら、納音なっちんGゲール・かおりにペコリとおじぎをした。


「かおり先生、ありがとうございます!」


 つづけてワゴンに隠していた〝かわのたて〟を取り出すと、今度は、てんてんてんと転がった、納音なっちんGゲール・かおりの生首に向かって〝かわのたて〟かかげた。


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 スキル、盗作疑惑めっちゃリスペクト

 納音なっちんGゲール・かおりのスキル〝魁罡マイウェイ〟を〝かわのたて〟に無断コピー。

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 コトリ・チョウツガイは、ニコニコしながら、納音なっちんGゲール・かおりの生首にペコリとおじぎをした。


「生首のかおり先生、ありがとうございます!」


 コトリ・チョウツガイは、〝どうのつるぎ〟を腰にぶら下げたフックにひっかけて、両手を合わせてお祈りした。東洋的な仏教思想のお祈りだった。


 そしてスカートのポケットから、唐草模様からくさもようの風呂敷をとりだすと、納音なっちんGゲール・かおりの生首を丁寧ていねいに包んだ。


 コトリ・チョウツガイが生首を包み終わったタイミングを見計らって、イツキ・ケブカワが言った。


「じゃあ、帰ろうか」


 コトリ・チョウツガイがニコニコしながらあいづちを打った。


「はい!」


「今回は、先生に邪魔されなくて本当によかったよ。兄さんにじゃがいも料理でひきつけてもらった甲斐があった」


 コトリ・チョウツガイがニコニコしながらあいづちを打った。


「イツキさんは、ホンマ先生のあつかいがヒドいです。でも、そのとおりや思います」


 無事に仕事を終えたふたりは、ほがらかに今日の仕事の感想と、先生とよばれた安楽庵あんらくあん探偵事務所の所長、キコ・アンラクアンに対する残念な感想を言いながら、額縁の中に数字の〝23〟が書かれたドアをくぐろうとした。


 そのとき、事件が起こった。


「あなたがた……何をされている方なの?」


 ふたりは、目覚めた納音なっちんGゲール・かおりに呼び止められた。

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