第38話 生き残る紳士と息を引き取った紳士
「さてと、それじゃあ、〝あさ子〟を埋葬しに行こう」
イツキ・ケブカワが神妙に言った。
「どこに埋葬するんです?」
コトリ・チョツガイの質問に、イツキ・ケブカワ神妙に続けた。
「やっぱり、スイスのライヘンバッハの滝のふもとだと思うよ。それが、
ライヘンバッハの滝は
「ですね。それがめっちゃええです」
そう言うと、コトリ・チョウツガイは
「
と、ペコリと頭を下げて、イツキ・ケブカワと一緒に、額縁に「57」と書かれたハッキリとした色合いの敷居をしっかりとまたいで、メイドらしく「失礼します」と
ガチャリ。
ハッキリとした色合いの一面グレーのドアは、戸が閉じた瞬間に「フッ」消え去った。
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ぎゅるるるるる……ぎゅるるるるる……
どれくらい時間が立っただろう。
中には便器があった。木箱はトイレだった。
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色々と
自分は、なんて馬鹿らしいことを考えていたのだろう。この天才的な頭脳を失うのは、英国の、いや全世界の損失だ。自殺をするなんてとんでもない!
後に英国紳士は、そのハッキリとした一面グレーの脳細胞で、国に多大なる貢献をして〝サー〟称号をもらった。それから、いささか危なっかしい思想を語ったり、妖精の存在を語る少女たちを強烈に支持したり……とにかく、いろんな意味で精力的に活動して、その71歳の生涯を終えた。
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19XX年、とある世界にひとりの赤ん坊が産まれた。女の子だった。至って正常の範囲の体重だった。この世界では今は〝正出生体重児〟と呼ばれている。
女の子は、とても想像力豊かで、ウエットでネガティブな性格だった。
しかし、赤ん坊は、とても逞しい
物心がつき、女の子は少女になった。
そして本に出会った。少女は本の世界に夢中になった。とりわけ、18世紀から19世紀にかけての小説に夢中になった。
そして少女は筆をにぎった。この世の中で最も面白い小説を書く。そう、心にきめた。
しかし悲しいかな、少女は至って普通の少女だった。そして、前世で運が良すぎたため、それほど運も良くなかった。
しかし少女は小説を書き続けた。大人になっても、母親になっても書き続けた。
彼女の作品が、世間に認められる日はくるのだろうか……正直な所、わからない。
しかし、彼女は書き続ける。書き続ける才能を持っていた。
ひょっとしたら前世のように、どんでもないテンプレ小説の
所詮は占い。当たるも
だが、彼女は書き続ける才能を持っていた。奇跡は起こるかもしれない。
例えばこんな奇跡はどうだろう。
所用の帰りの列車のなかで、ふと、少年の冒険譚を思いつく。冒頭から結末までの詳細な冒険譚を思いつく。たった数時間で全てを思いつき、そして夢のような物語をつづる。
その少年は、こんな特徴があったらどうだろう。
体のどこかに稲妻の形をしたアザがあり、とても魔力に優れている。奇跡が起こる前は、イジワルな家族に虐げられているかもしれない。気のいい少年と、生真面目な少女、二人の学友に恵まれても良いかもしれない。
奇跡が起こるのを期待したい。
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幕間劇
こんにちは。コトリ・チョウツガイです。
ここまで、お読みいただきありがとうございます。めっちゃうれしいです。
なんや色々と訳わからん話ですみません。
あと、イツキさんが
ちょっとだけ解説すると、イツキさんはノートPCで占いをする
以前、
「名刺の上では、私は代表取締役社長です。
頭の中では、ゲーム開発者です。
でも、心の中では、ゲーマーです」
って言ってました。
ちょっとなにいってるか、わからんけど、
イツキさんは、
でも、先生みたいに万能じゃないです。
ちなみに今回みたいにめっちゃヤバイ事が起こったら、
そんでもって、いよいよどうしようも無くなったら、
過去に何回か、わたしが死んでどうしようも無くなったから、
ホンマにイツキさんは、嫁入り前の娘の扱いが酷すぎます。そう思いません?
そこんところ、しっかりと頭ん中に入れておいてもらうと、めっちゃ嬉しいです。
それでは、失礼します。
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