第13話 魔王たちと花畑の墓標。
エルフの魔道士ホクト・ノースポイントを蘇生した、公益ギルドのアイテム鑑定所の鑑定士、兼、所長、兼、先生のキコ・アンラクアンは、再びカツカツと革靴を鳴らして歩いた。そして、勇者テンセン・チチュウの前に立った。
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「ちょ! 何やってるんですか先生!!」
コトリ・チョウツガイは、顔を真っ青にして、キコ・アンラクアンを羽交い締めしした。
「いまテンセンさんを蘇生したら、首から血を吹き出してまた死んでまうじゃないですか!」
青ざめた武道家の娘、タツミ・イヌウシと、エルフの魔道士、ホクト・ノースポイントは、すぐさま行動に移った。
武道家の娘、タツミ・イヌウシとは、転がっていた勇者の首を抱え上げると、1ミリたりともズレも無ように、1度たりとも角度を間違えぬように、慎重に慎重に勇者の動体にピッタリとくっつけでスタンバイをした。
エルフの魔道士、ホクト・ノースポイントは、慎重に
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勇者テンセンチチュウは目覚めた。目覚めた魔王に蹴り飛ばされたため、首の断面が歪んでしまい、ほんの少しだけ頭が歪んでくっついてしまったが、日常生活に支障をきたすレベルではない。
危なかった。勇者テンセン・チチュウは、キコ・アンラクアンに首のないまま蘇生され、再び死んでしまうところだった。
キコ・アンラクアンと違い、この世界の蘇生ルールをキッカリ把握しているコトリ・チョウツガイが、おずおずと聞いてみた。
「あの……上半身まる裸の方のタツミさんは、どうします?」
答えたのは、
「大丈夫、大丈夫、そのまま放置で問題ないよ」
エルフの魔道士、ホクト・ノースポイントは話を続けた。
「よくあること。タツミ、ふたりなったら必ず大喧嘩する。今夜のテンセンのお相手をどっちがするかで痴話喧嘩を起こす。そしてデスマッチをする。
でも〝
私が審判して優勢勝ちの方を、
「へぇー、そうなんやぁ」
コトリ・チョウツガイは、色々と突っ込みどころが多い話を、ニコニコしながら華麗にスルーした。そして、勇者ご一行に協力を依頼した。
「あの、魔王さんたちを埋葬するんで、手伝ってもらいます? ついでにタツミさんも埋葬しましょ」
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コトリ・チョウツガイは、
「うぅ……あんまりだぁ……」
「なんなのそれ? 許せない!!」
「外道」
勇者ご一行は、口々につぶやきながら号泣した。
魔王を倒すため、テンセン・チチュウの選ばれしスキル〝
号泣した勇者ご一行は、コトリ・チョウツガイと共に、ちょうど胃袋のところで真っ二にされた、彼である魔王の上半身と、彼女である魔王の下半身を、コトリ・チョウツガイが大量に持参していた、
ついでに、バラバラに惨殺された、タツミ・イヌウシの頭と右手首と左足首を
コトリ・チョウツガイと勇者ご一行は、
魔王の城は静かだった。魔王の
もぬけのカラの魔王の城抜けると、コトリ・チョウツガイと勇者ご一行は、500メートルほど先にある、毒の沼地を目指した。
そして、毒の沼地の真ん中に、まるで島のようにポッカリと浮かんだ美しい花畑の中央にある墓標のもとに、彼である魔王の上半身と、彼女である魔王の下半身を
タツミ・イヌウシの死体は、ふたりの邪魔にならないところに
そして、コトリ・チョウツガイは、両手を合わせてお祈りした。東洋的な仏教思想のお祈りだった。
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ツノのある魔族の男性、十二運ステータスが〝死〟から〝墓〟移動。
ツノのある魔族の女性、十二運ステータスが〝死〟から〝墓〟移動。
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「さあ、仕上げや」
コトリ・チョウツガイは、神妙な面持ちでリュックをゴソゴソとまさぐって、なんだかお洒落な青色の瓶に入ったドリンクを両手に持った。お酢だった。
コトリ・チョウツガイは、二本のお酢のキャップを「パキリン」と開けると、両手を使ってダバダバと墓の上にかけた。
「次なる輪廻は、安寧なる生涯を……」
墓標にお酢をかけ終えたコトリ・チョウツガイは、再び両手を合わせてお祈りした。東洋的な五行思想のお祈りだった。
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ツノのある魔族の男性の木行ポイントが1上がった。
ツノのある魔族の女性の木行ポイントが1上がった。
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一方その頃、公益ギルドのアイテム鑑定所の鑑定士、兼、所長、兼、先生のキコ・アンラクアンは、コトリ・チョウツガイと勇者ご一行が戻ってくるのを、〝どうのつるぎ〟の254回攻撃を受けた、傷ひとつついていない魔王の玉座に座って「ぼけー」と待っていた。
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