主人公になりたい。

第35話 犯人を追いかける

　あ……えっ……いない？

「おい空！　もう車も旬もいねぇぞ！」

「探せ、まだ見える範囲にいるはずだ！」

　おいおい、ちょっと目を離した隙にやばいって。

「おいあそこ！　車だ！」

「とりあえず追いかけるぞ」

　俺たちは走って車を追いかけた。

「ちょうど信号で止まった！　今がチャンスだ！」

　車が止まっている時を狙って、俺たちは全力で走って追いついた。

「追いついた！」

　蓮が追いついたと同時に安堵の息を溢すと車がまた動き出した。

「蓮、安心している暇なんてないぞ！」

　俺は蓮にそう言ったけど俺も安堵の息を溢していたので俺自身にも言い聞かせた。

　てか走って追いつくには無理があるだろ。

　タクシー探せ俺！

「あっ！　タクシー！」

　タクシーを見つけてうまく呼び止めれた。

「蓮！　タクシーで追うぞ！」

　俺たちはタクシーに乗り込んで旬の乗った黒塗りの車を追うように運転手に言った。

　タクシーに乗って数十分、走ってなら無理だったがタクシーでならすんなりと追いつくことができた。

　そして黒塗りの車が止まったところに……俺たちは驚愕した。